隠居日録

隠居日録

2016年(世にいう平成28年)、発作的に会社を辞め、隠居生活に入る。日々を読書と散歩に費やす

2024-01-01から1ヶ月間の記事一覧

あなたには、殺せません

石持浅海氏のあなたには、殺せませんを読んだ。本作は短編連作倒叙ミステリーで、犯罪予備者の駆け込み寺とうわさされるNPOが舞台になっている。そこの1番の相談室は殺人を考えてる犯罪予備者に割り当てられていて、相談員が誰をなぜ殺したいのかを聞く。そ…

九月と七月の姉妹

デイジー・ジョンソンの九月と七月の姉妹(原題 Sisters)を読んだ。姉は9月に生まれたのでセプテンバーと呼ばれ、妹は10か月後の7月に生まれたのでジュライと呼ばれた。姉は我が強く、妹を支配して、従属させていた。妹は内気で、姉の支配を受け入れていた。…

地雷グリコ

青崎有吾氏の地雷グリコを読んだ。このタイトルからはどんな内容化想像するのはちょっと難しいと思う。女子高生の射守矢いもりや真兎まとは見た目は脱力系・無気力系なのだが、滅法ゲームに強い。そのゲームも単純に運が作用するようなゲームではなく、確実…

ちぎれた鎖と光の切れ端

荒木あかね氏のちぎれた鎖と光の切れ端を読んだ。本書は二部構成になっていて、第一部は倒叙的な記述になっており、友人グループで孤島のコテージに宿泊するメンバーの中に、仲間を殺そうとしている男が紛れ込んでいるというストーリーになっている。その男…

夜に星を放つ

窪美澄氏の夜に星を放つを読んだ。星に関係する小説だと思ったので読んだのだが、直接的には星には関係なく、各話に星にまつわることが織り込まれている短編集だった。収録されているのは「真夜中のアボカド」、「銀紙色のアンタレス」、「真珠星スピカ」、…

呪いを解く者

フランシス・ハーディングの呪いを解く者 (原題 UNRAVELLER)を読んだ。この物語はラディスという架空の国が舞台のファンタジーだ。ラディスには<原野ワイルズ>と呼ばれる霧に包まれた森が隣接しており、そこには不思議な力を持つ生き物が暮らしている。特…

家康の誤算 「神君の仕組み」の創造と崩壊

磯田道史先生の家康の誤算 「神君の仕組み」の創造と崩壊を読んだ。本書は250年以上続いた徳川政権がなぜ滅びたのかを、徳川家康がどのように滅びないように仕掛けをしたかを説明しながら、解説した本だ。そして、徳川幕府崩壊後の明治についても、何が変わ…

『源氏物語』の時間表現

吉海直人氏の『源氏物語』の時間表現を読んだ。この本の内容は序章からかなり衝撃的だった。何が衝撃的だったかというと、平安時代は時間的な日付変更が午前三時に起きていたということだ。つまり、午前3時を超えた時点で、新しい一日が始まるというのだ。こ…