2021-02-01から1ヶ月間の記事一覧
多和田葉子氏の星に仄めかされてを読んだ。本書は地球に散りばめられての続編だ。前作はヨーロッパを縦断して目まぐるしく移動していたが、今度の小説ではあまり移動はしていない。ドイツ組のアカッシュ、ノラ、ナヌークがドイツのトリアーからデンマークの…
多和田葉子氏の地球にちりばめられてを読んだ。スウェーデンに留学中に故郷がなくなってしまったHirukoが、スカンジナビア半島で暮らすために、スウェーデン語、ノルウェー語、デンマーク語を混ぜ合わせてパンスカという新しい言葉を生み出した。そのHiruko…
東川篤哉氏の谷根千ミステリ散歩 中途半端な逆さま問題を読んだ。本書は鰯のツミレならぬ岩篠つみれが狂言回しとなっている短編ミステリー。岩篠つみれの兄が岩篠なめ郎で、その兄は鰯の吾郎という鰯専門の海鮮居酒屋を谷中で開いている。その谷中を舞台にし…
桐野夏生氏の日没を読んだ。ある日、総務省文化局文芸倫理向上委員会というところから小説家のマッツ夢井の許に封筒が届いた。心当たりがない役所からもので、見た感じ嫌な予感がして、中を開けると、召喚状が出てきた。主旨は、読者からの提訴について審議…
五十嵐貴久氏の命の砦を読んだ。本書は北上ラジオの24回で紹介されていた。五十嵐貴久『命の砦』(祥伝社)は、超興奮の極みで息つく暇のないパニック小説だ!【おすすめ本/北上ラジオ#24】 - YouTubeこの本も実は「女性消防士・神谷夏美シリーズ」の三冊目…
山本博文先生の「関ヶ原」の決算書を読んだ。山本先生の多分最後の本だと思う。本書は決算書と書かれているが、決算書というのはちょっと微妙な表現だと思う。というのも、歴史的な史料として、各大名がどれぐらいの資金を関ヶ原の合戦に費やしたかは存在し…
ジョージ・オーウェルの一九八四年 (原題 NINETEEN EIGHTY-FOUR)を読んだ。ディストピア小説の古典中の古典だが、今まで読んだことがなかった。今回読んだのは2009年に出版された新訳版だ。1948年に1984年の未来を描いた小説だが、オーウェル自身はこれが198…