多和田葉子氏の星に仄めかされてを読んだ。本書は地球に散りばめられての続編だ。
前作はヨーロッパを縦断して目まぐるしく移動していたが、今度の小説ではあまり移動はしていない。ドイツ組のアカッシュ、ノラ、ナヌークがドイツのトリアーからデンマークのコペンハーゲンまで移動するだけだ。ナヌークはヒッチハイクで、アカッシュとノラはバスと鉄道とバイクを乗り継いでどうにかこうにかコペンハーゲンに向かうことになる。一方Susanooはクヌートの友人のベルマー医師の診察を受け、研究対象として暫く病院にとどまることになった。
この本の中のSusanooと地球に散りばめられての中のSusanooは同一なのだろうかと疑問に思った。結局彼が失語症だったのかどうかも不明だが、コペンハーゲンでは話せるようになり、そうすると彼は言葉で相手の心の中を無理やりこじ開けるようなことを始める。この理由も不明だが、前巻の彼からはこのような行動に出るとは思えなかった。それと、ベルマーとナヌークが性格を交換すると言って、そうするのだが、ナヌークはベルマーの代わりにSusanooに実験を行ったりして、単純に性格の交換以上の事が起こっているような感じだ。未だに、この小説の構造が見えてこない。一体どういう結末に次巻でなるのだろう?この物語はある種のおとぎ話のようなものなのだろうか?各所に神話とか日本のおとぎ話とかが散りばめられていて、それはただそこに放り込んだわけではないのだろうから、何らかの意味があるのだろうが、よくわからない。
物語の最後で、彼らは日本に向けて船で旅立つことになったのだが、三巻目で果たしてストーリは収束するのだろうか?物語の中では、日本があるかないかも明らかになっていないのだが、いったいどういう事が起きて連絡が取れなくなっているのだろう?現時点で疑問は全然解消されない。