隠居日録

隠居日録

2016年(世にいう平成28年)、発作的に会社を辞め、隠居生活に入る。日々を読書と散歩に費やす

歴史

ボマーマフィアと東京大空襲 精密爆撃の理想はなぜ潰えたか

マルコム・グラッドウェルのボマーマフィアと東京大空襲 精密爆撃の理想はなぜ潰えたか (原題 THE BOMBER MAFIA)を読んだ。以前NHK BSプレミアムで放送されていた映像の世紀プレミアムで太平洋戦争時の東京空襲に触れている回があり、その中で、「米軍は当初…

コード・ガールズ――日独の暗号を解き明かした女性たち

ライザ・マンディのコード・ガールズ――日独の暗号を解き明かした女性たち (原題 CODE GIRLS The Untold story of American Women Code Breakers of Wold War II)を読んだ。本書は暗号解読の役割を担った女性たちという切り口で第二次世界大戦中を描いている…

大聖堂・製鉄・水車―中世ヨーロッパのテクノロジー

ジョゼフ・ギース、フランシス・ギースの大聖堂・製鉄・水車―中世ヨーロッパのテクノロジー (原題 Cathedral, Forge, and Waterwheel Technology and Invention in the Middle Ages)を読んだ。読む前は、中世時代にヨーロッパで発明されたものに関する本だと…

南北戦争 アメリカを二つに裂いた内戦

小川寛大氏の南北戦争 アメリカを二つに裂いた内戦を読んだ。南北戦争に関しては中学か高校の世界史で学んだという記憶があるぐらいで、北部の州は奴隷解放、南部の州は奴隷制維持を掲げて戦ったという事ぐらいしか、記憶に残っていなかった。後年、アメリカ…

因果推論の科学 「なぜ?」の問いにどう答えるか

ジューディア・パール、 ダナ・マッケンジーの因果推論の科学 「なぜ?」の問いにどう答えるか(原題 The Book of Why The New Science of Cause and Effect)を読んだ。非常に興味深いのだが、残念ながら、この本の説明だけではよくわからないところも多々あっ…

氏名の誕生 ――江戸時代の名前はなぜ消えたのか

尾脇秀和の氏名の誕生 ――江戸時代の名前はなぜ消えたのかを読んだ。本書は江戸時代まで使われていた人名の構成方法が、明治政府の誕生により捨て去られて、今の氏名という形式になった経緯が記されている。その前提として、江戸時代の後期の頃はどのように人…

一九三九年 誰も望まなかった戦争

フレデリック・テイラーの一九三九年 誰も望まなかった戦争 (原題 A People's History The War Nobody Wanted)を読んだ。本書は第二次世界大戦に至る英独開戦状況を、当時の新聞、日記、回想録あるいは実際のインタビューによって事細かに追っていった記録で…

数学の大統一に挑む

エドワード・フレンケルの数学の大統一に挑む (原題 Love and Math The Heart of Hidden Reality)を読んだ。エドワード・フレンケルは旧ソビエト出身の数学者で、現在はラングランズ・プログラムという数学の中の異なる分野間の概念にお互いに密接に関係して…

図説 中世ヨーロッパの商人

菊池雄太(編著)氏の図説 中世ヨーロッパの商人を読んだ。以前会計の世界史 イタリア、イギリス、アメリカ――500年の物語 - 隠居日録を読んだ。この本は会計の歴史ではあるが、ある種経済史でもあり、ヨーロッパの商人の歴史をルネッサンス以降の時代から語っ…

幕末社会

須田努氏の幕末社会を読んだ。どの年代からを幕末と呼ぶかはいろいろ意見はあるだろうが、著者は天保時代からを幕末ととらえていて、本書では天保時代から取り上げている。いわゆる幕末も1868年に近づけば近づくほど、とてつもなく色々な出来事が起こってき…

鎌倉公方と関東管領 (対決の東国史 4)

植田真平氏の鎌倉公方と関東管領を読んだ。本書は対決の東国史シリーズの一冊で、室町時代の中頃までを鎌倉公方と関東管領という切り口で解説した本だ。 鎌倉公方・関東管領 鎌倉公方と言えば、室町時代にも鎌倉に駐在し、関東に睨みを利かせていた室町幕府…

戦争プロパガンダ 10の法則

アンヌ・モレリの戦争プロパガンダ 10の法則(原題 Principes élémentaires propagande de guerrel)を読んだ。本書は1928年にロンドンで出版されたアーサー・ポンソンビーの「戦争の嘘」に書かれている戦争のプロパガンダの10項目の法則について、著者のモレ…

ハーバード日本史教室

佐藤智恵氏のハーバード日本史教室を読んだ。ハーバード大学で日本史がどのように教えられているのかが具体的に書かれている(使用するテキストとか、どのような議論がなされるのかなど)本なのかと思って、読みだしたのだが、実際にはハーバード大学において…

津田梅子 科学への道、大学の夢

古川安氏の津田梅子 科学への道、大学の夢 を読んだ。以前から不思議に思っていたのだが、明治政府は5人の少女をアメリカ留学に送り出したが、これは明治政府の中の誰の案なのだろう?どういう組織がかかわっていたのだろう?そして、その目的あるいは期待し…

黒人と白人の世界史

オレリア・ミシェルの黒人と白人の世界史――「人種」はいかにつくられてきたか (原題 Un monde en nègre et blanc)を読んだ。原題の意味するところは「黒と白の世界」で、日本語に翻訳すると直接的過ぎるような表現になっている。それからすると日本語のタイ…

刀伊の入寇-平安時代、最大の対外危機

関幸彦氏の刀伊の入寇-平安時代、最大の対外危機を読んだ。平安時代に対外勢力からの侵略があったという事、そしてそれが「刀伊の入寇」と呼ばれていたという事は知っていたのだが、具体的な内容はよく知らなかった。更に、何かの小説で、事件があったのは時…

荘園-墾田永年私財法から応仁の乱まで

伊藤俊一氏の荘園-墾田永年私財法から応仁の乱までを読んだ。この本を読む前は、荘園の始まりが墾田永年私財法からというのは分かっていたが、ではいつまで続いたのかというのはよくわかっていなかった。室町時代はまだあったのだろうが、戦国時代にはもうな…

百姓から見た戦国大名

黒田基樹氏の百姓から見た戦国大名を読んだ。災害や凶作が起きればなんとなく飢饉になると思っていたが、実はそうではなく、そのような事が起きた時に、人々が食料を獲得する能力が欠如しているとき、更に言えば、食料を獲得できない人々に食料が行き渡る社…

統計学を拓いた異才たち―経験則から科学へ進展した一世紀

デイヴィッド・サルツブルグの統計学を拓いた異才たち―経験則から科学へ進展した一世紀 (原題 The Lady Tasting Tea)を読んだ。以前統計の歴史 - 隠居日録を読んだのだが、思っていたような本ではなかったので、それらしい本はないかと探していて見つけたの…

密告者ステラ ~ヒトラーにユダヤ人同胞を売った女

ピーター・ワイデンの密告者ステラ ~ヒトラーにユダヤ人同胞を売った女(原題 Stella One Woman's True Tale of Evil, Betrayal, and Survival in Hitler's Germany)を読んだ。この本はタイトルにあるように密告者の物語で、第二次世界大戦中にベルリンに潜伏…

信長徹底解読 ここまでわかった本当の姿

信長徹底解読 ここまでわかった本当の姿を読んだ。織田信長と言えば日本の歴史上の武将でも有名な人物で、知らない人はいないだろう。しかし、実際の信長の行ったことと物語の中での信長とがなんとなく混然一体となっていて、どこまでが歴史としてわかってい…

絶対に面白い化学入門 世界史は化学でできている

左巻健男氏の絶対に面白い化学入門 世界史は化学でできているを読んだ。タイトルに「化学入門」とついているが、入門書というよりは人類の歴史の中での化学的な発見とかその成果のエピソード集といった感じの本だ。すでに知っていることもあったが、知らない…

日本神判史

清水克行氏の日本神判史を読んだ。有罪であるか無罪であるかを神に問い判決を下すのが神判であり、かってこの日本でもそのような事が行われていた。日本書紀にも竹内宿禰が「深湯」を行ったという記録があり、これ以外にも日本書紀に2件あるという。「深湯」…

古代日本の官僚-天皇に仕えた怠惰な面々

虎尾達哉氏の古代日本の官僚-天皇に仕えた怠惰な面々を読んだ。タイトルの通り、古代から中世の日本の朝廷には実は怠惰な官人が多くいたという内容なのだが、それにもまして、実は第一章の「律令官人とは何か」が面白かった。 陰位 まず第一に、今まで、朝廷…

幕末江戸と外国人

吉崎雅規氏の幕末江戸と外国人を読んだ。江戸時代にいつ頃から外国人が住んでいたのかに関しては正直なところよく知らなかった。安政五(1858)年六月十九日日米修好通商条約が結ばれるが、この条約の第一条に、 合衆国の大統領は江戸に居留するヂプロマチーキ…

統計の歴史

オリヴィエ・レイの統計の歴史(原題 Quand le monde s'est fait nombre)を読んだ。日本語のタイトルは統計の歴史となっているが、フランス語の原題は「世界が数になったら」という意味で、こちらの方が内容をよく表していると思う。というのも、統計に関して…

中世ヨーロッパ ファクトとフィクション

ウィンストン・ブラックの中世ヨーロッパ ファクトとフィクション(原題 The Middle Ages: Facts and Fictions)を読んだ。この本が指摘するように、確かに「中世暗黒時代」というイメージは自分も持っていた。教会の権力が強大で何もかも支配して、一般民衆は…

「違和感」の日本史

本郷和人先生の「違和感」の日本史を読んだ。本書は産経新聞に連載中の日本史ナナメ読みをまとめたもの。これを読んでいると、本郷先生色々とストレスが溜まっているのじゃないかと心配してしまうような記述がいくつかあった。それはそれとして、本書の中で…

日本史の賢問愚問

中里裕司氏の日本史の賢問愚問を読んだ。本書は山川出版社の広報誌「歴史と地理」に連載されていた「賢問愚問」をまとめたものだ。 承平・天慶の乱 私が子供の頃は承平・天慶の乱と教わった記憶がかすかにあるのだが、最近はそのようには呼ばないで、天慶の…

歴史を変えた10の薬

トーマス・ヘイガーの歴史を変えた10の薬 (原題 TEN DRUGS)を読んだ。本書は著者の選定基準に基づいて歴史上の薬から10個を掘り下げて、その開発の歴史をまとめたものだ。 天然痘と人痘・牛痘 天然痘とといえばかっては恐ろしい伝染病で、致死率の高さと、仮…