隠居日録

2016年(世にいう平成28年)、発作的に会社を辞め、隠居生活に入る。日々を読書と散歩に費やす

歴史

戦乱と民衆

戦乱と民衆を読んだ。この本は2017年10月に行われた国際日本文化研究センターの一般公開シンポジウム「日本史の戦乱と民衆」の内容をまとめた本で、倉本一宏、呉座勇一、フレデリック・クレインス、磯田道史の各氏が講演した内容と、講演後に行われた一般公…

コロンブスの不平等交換 作物・奴隷・疫病の世界史

山本紀夫氏のコロンブスの不平等交換を読んだ。勉強不足でコロンブスの交換という言葉を知らなかったのだが、最初に用いたのはアメリカの歴史学者のクロスビーが1972年に発表したThe Columbian Exchangeから広まったということだ。日本語ではコロンブスの交…

秀吉の接待

二木謙一氏の秀吉の接待―毛利輝元上洛日記を読み解くを読んだ。この本を読む前にサブタイトルに「毛利輝元上洛日記を読み解く」に気付かず、秀吉側の視点に立った本だと思っていたのだが、実際はこのサブタイトルの通りで、毛利輝元側の視点に立った文書をも…

兼好法師 - 徒然草に記されなかった真実

小川剛生氏の「兼好法師 - 徒然草に記されなかった真実」を読んだ。言わずと知れた徒然草の作者であるが、記憶が正しければ、私の若いことは吉田兼好という風に呼ばれていたと記憶している。しかし、本書のタイトルは兼好法師だ。なぜなら、兼好法師と吉田は…

あだ名で読む中世史

岡地稔氏のあだ名で読む中世史を読んだ。タイトルから内容を「めずらしかったり、面白いあだ名がついている王侯貴族を切り口にして、中世の歴史を概観するような内容だろう」と勝手に想像して、読み始めたのだが、全然違った。本書はなぜヨーロッパに「あだ…

南朝研究の最前線

南朝研究の最前線を読んだ。日本史料研究会の「研究の最前線」シリーズの一冊で、近年の南朝研究の成果を紹介している。本書の初めでも述べられているが、南朝とは何とも捕えがたい存在だと思う。南朝が正統であるとされているが、実態は南朝は負け組であり…

征夷大将軍研究の最前線

征夷大将軍研究の最前線を読んだ。本書は「征夷大将軍=源氏」観の歴史的な成立過程を論じるために、4つのテーマを設けている。 鎌倉幕府と征夷代将軍 室町幕府と征夷代将軍 征夷代将軍と八幡信仰 征夷代将軍の近世的展開 そもそも、頼朝は征夷代将軍を望んで…

初期室町幕府研究の最前線 ここまでわかった南北朝期の幕府体制

初期室町幕府研究の最前線 ここまでわかった南北朝期の幕府体制を読んだ。本書は成立から最盛期にいたる初期室町幕府について、政治体制・地方統治・室町殿義満・寺院政策などについて最先端の研究動向を一般の歴史ファン向けに紹介することを目的としている…

藤原道長の日常生活

倉本一宏先生の 藤原道長の日常生活を読んだ。本書は狙いは、藤原道長の「御堂関白記」、藤原実資の「小右記」、藤原行成の「権記」の日記の内容をもとに藤原道長の実像に迫るというものである。倉本先生は「一般に平安時代の貴族たち対する理解というのは、…

平安朝 皇位継承の闇

倉本一宏先生の 平安朝 皇位継承の闇を読んだ。歴史上暴虐・狂気の天皇として記録されている歴代の天皇が何人かいるが、なぜそのような伝説が残っているのを考察した一冊だ。本書のタイトルに平安朝と書かれているが、まず序章で扱われているのは武烈天皇だ…

司馬遼太郎が描かなかった幕末 松陰、龍馬、晋作の実像

一坂太郎氏の司馬遼太郎が描かなかった幕末 松陰、龍馬、晋作の実像を読んだ。実は私は司馬遼太郎の小説を読んだことがない。子供の頃は歴史小説とか時代小説に興味がなかったのと、ある程度年を取ってからは、読書に割ける時間が限られてしまって、長い小説…

歴史は実験できるのか――自然実験が解き明かす人類史

歴史は実験できるのか――自然実験が解き明かす人類史(原題 Natural Experiments of History)を読んだ。タイトルの前半だけを見て、「そりゃ、歴史の実験というのは不可能だろう。いったいどういう内容が書かれているのだろう?」と思った。しかし、本書には副…

戦国大名の兵粮事情

久保健一郎氏の 戦国大名の兵粮事情を読んだ。戦国合戦の舞台裏 - 隠居日録を読んだのだが、わかったようなわからないようなもやもやした感じになっていたので、別な本を読んでみたのだ。今回の本は兵糧が中心になっているので、知りたいことがズバリと書か…

もういちど読む 山川 日本史史料

もういちど読む 山川日本史史料を読んだ。本書は山川出版の詳説日本史に掲載されている史料のうち48点を選んで解説している。史料は現代語訳されており、解説も付いているので読みやすいのだが、原文もぜひ載せてほしかった。 大化の改新の詔 日本史のツボ -…

戦国合戦の舞台裏

盛本昌広氏の戦国合戦の舞台裏を読んだ。後方支援とか兵站が戦国時代どの様であったのだろうかという興味から本書を読んだのだが、本書のカバーしている範囲が意外と広く、後方支援とか兵站に関しては触れていることは触れているのだが、知りたいと思ってい…

戦国史の俗説を覆す

戦国史の俗説を覆すを読んだ。本書は比較的よく知られている定説が実は誤っていたということをまとめた本である。取り上げられているトピックは以下の通り。 本当の鉄砲伝来はいつだったのか 川中島の戦いは何回行われたのか 信長の「天下」は日本全国を指す…

日本史のツボ

本郷和人先生の日本史のツボを読んだ。本書は7つの項目から日本史を俯瞰しようという試みで、7つの項目とは、天皇、宗教、土地、軍事、地域、女性、経済の項目だ。と言っても、これらの項目は互いに結びついているので、完全独立には論じることができないの…

吉田松陰: 「日本」を発見した思想家

桐原健真氏の吉田松陰: 「日本」を発見した思想家を読んだ。本書は吉田松陰の思想がどのように変遷したかが主眼になっていて、吉田松陰自身の生涯にはあまり詳しくは触れていない。とはいっても、生い立ちなどはその人の人格を形成するうえでも重要であるの…

B.C.1177 古代グローバル文明の崩壊

エリック・H. クラインのB.C.1177 古代グローバル文明の崩壊 (原題 1177 B.C. The Year Civilization Collapsed)を読んだ。この本は紀元前3000年頃から始まる青銅器時代にメソポタミアから地中海東岸にかけて栄えていた文明が、紀元前1200年ごろから突如消滅…

経済で謎を解く関ヶ原の戦い

武田知弘氏の経済で謎を解く 関ヶ原の戦いを読んだ。本書の内容だが、 日本史最大のミステリーである関ヶ原の謎も、「経済」の視点で読み解くと、スッキリ見えてくる。歴史好き必読の一冊! と紹介されている。しかし、そんなに難しいというかあまり経済的な…

日本史の内幕

磯田道史先生の日本史の内幕を読んだ。本書のまえがきで、磯田先生は次のように書いてある。 歴史教科書は、政府や学者さんの願望にすぎない。「国民のみなさん、われわれの歴史はこんなものでした。このように思っていてください」と、彼らが信じてほしい歴…

戦国と宗教

神田千里氏の戦国と宗教を読んだ。 戦国大名と信仰 勝ち上がりの条件 - 隠居日録において軍師が呪術的な側面を帯びていたことが言及されていたが、戦争という行為自体が呪術を必要としており、戦場に臨むものは神仏の加護を必要とし、お守りを携行していた。…

勝ち上がりの条件

半藤一利氏と磯田道史先生の勝ち上がりの条件 軍師・参謀の作法を読んだ。本書は半藤一利氏と磯田道史先生の対談になっており、軍師・参謀について色々語っている。本書の副題に「軍師・参謀」と書かれている。まずこれについての言及がある。どちらも組織の…

江戸三〇〇年 あの大名たちの顚末

中江克己氏の江戸三〇〇年 あの大名たちの顚末を読んだ。私が子供の頃は「徳川三百年」などと言われることが殆どだったが、実際には江戸時代は300年もなく、250年ぐらいしかないので、最近はあまり聞かれることが無くなった。しかしながら本書のタイトルは30…

江戸時代役職事典

江戸時代役職事典を読んだ。タイトルは「江戸時代役職事典」となっているが、中身は「役職編」、「制度編」、「ひとと役職編」に分かれている。また、巻末に「江戸幕府役職要覧」が付録として採録されているが、この要覧に列挙されているすべての役職が、前…

軍需物資から見た戦国合戦

盛本昌広氏の軍需物資から見た戦国合戦を読んだ。本書では軍需物資の中で主に木材という観点から戦国時代の合戦を研究した本である。あくまでも本書の主役は軍需物資なので、具体的な合戦の進行に関しては多くは語られていない。木・竹は様々な用途で合戦に…

慶安の触書は出されたのか

山本英二氏の慶安の触書は出されたかを読んだ。タイトルから推測するに、慶安の触書は出されなかったというのが筆者の主張であろうというのは読む前にわかってたが、では「慶安の触書」と呼ばれていたものは一体何だったのだろう?後世につくられた偽書なのだ…

一次史料にみる関ヶ原の戦い(改訂版)

高橋陽介氏の一次史料にみる関ヶ原の戦い(改訂版)を読んだ。本書は2015年に自費出版した「一次史料にみる関ヶ原の戦い」を増補・改定した本である。著者は一次史料を読む際の心がけとして、 関ヶ原の戦いが徳川と豊臣の戦いであるという先入観、あるいは関ヶ…

経済で読み解く明治維新

上念司氏の経済で読み解く明治維新を読んだ。経済で読み解く織田信長 - 隠居日録が面白かったので、こちらも読んでみた。実際の出版順はこちらの方が先だ。この本もそれなりに面白かったのだが、織田信長ほどは面白くなかった。 疑問に思ったところ P45に財…

戦国大名の「外交」

丸島和洋氏の戦国大名の「外交」を読んだ。ここで外交の部分が「外交」となっているのは、混乱を避けるためで、戦国期の大名を一つの国家とみなして、大名同士の交渉を外交としているからで、戦国大名が外国の国と独自に行っていた外交の話ではないからであ…