隠居日録

隠居日録

2016年(世にいう平成28年)、発作的に会社を辞め、隠居生活に入る。日々を読書と散歩に費やす

2018-01-01から1年間の記事一覧

ライオンの棲む街 平塚おんな探偵の事件簿1

東川篤哉氏のライオンの棲む街(平塚おんな探偵の事件簿シリーズ)を読んだ。生野エルザと川島美伽の探偵コンビのシリーズの第一弾。川島美伽は東京でOLをしていたのだが、仕事に疲れ、恋に破れ、貯金を持っていかれた挙句、なぜか不況下に会社を退職した27歳…

未来を読む AIと格差は世界を滅ぼすか

未来を読む AIと格差は世界を滅ぼすかを読んだ。大野和基氏がジャレド・ダイアモンド、 ユヴァル・ノア・ハラリ、 リンダ・グラットン、 ダニエル・コーエン、 ニック・ボストロム、 ウィリアム・J・ペリー、 ネル・アーヴィン・ペインター、 ジョーン・C・…

室町無頼

垣根涼介氏の室町無頼を読んだ。タイトルにあるように時代は室町時代で、舞台は京都。そこに集まってきた男たちの物語だ。本書は500ページを超える大作で、ストーリはゆっくりと進行していく。主人公は才蔵という17歳の少年で、赤松家牢人だった父親が亡くな…

NanoPi NEO2にFreeBSDをインストールしてみた

LinuxをNanoPi NEO2にインストールしたときに謎のkernel panicが発生し、理由が見当がつかずハードウェア本体を疑ったので、秋月で本体をもう一台購入した。その後kernel panicはイーサーネットを100BASEのHUBに接続することで、解消したのだが、本体が一台…

アルテミス

アンディ・ウィアーのアルテミス(原題 ARTEMIS)を読んだ。火星の人の作者の第二作目で、火星の人は未読だが、映画「オデッセイ」は金曜ロードショウで放送された時見て、面白いと思った。ただ、「オデッセイ」は最初は食料のことで困っていたはずなのに、芋…

戦乱と民衆

戦乱と民衆を読んだ。この本は2017年10月に行われた国際日本文化研究センターの一般公開シンポジウム「日本史の戦乱と民衆」の内容をまとめた本で、倉本一宏、呉座勇一、フレデリック・クレインス、磯田道史の各氏が講演した内容と、講演後に行われた一般公…

侍の本分

佐藤雅美氏の侍の本分を読んだ。本作は小説なのだろうと思って読み始めたのだが、小説というわけではなく、大久保彦左衛門が書き残した三河物語を、寛政年間に幕府が編纂した寛政重修諸家譜なども参照しながら、著者の視点で読み解くという構成になっている…

生物の「安定」と「不安定」 生命のダイミクスを探る

浅島誠氏の生物の「安定」と「不安定」 生命のダイミクスを探るを読んだ。本書にはゲノムに関する知見、細胞間のコミュニケーション、生命を維持するための恒常性、老化などについて書かれている。NHKブックスなので、一般向けの本だと思われるが、書かれて…

虫から死亡推定時刻はわかるのか?

三枝聖氏の虫から死亡推定時刻はわかるのか?を読んだ。本書を手に取る前には「法昆虫学」なるものがあることすら知らなかった。内容的には非常に面白いのだが、扱っている内容が内容だけに、読者を選ぶのかもしれない。ここで扱っているのは当然虫なのでが、…

コロンブスの不平等交換 作物・奴隷・疫病の世界史

山本紀夫氏のコロンブスの不平等交換を読んだ。勉強不足でコロンブスの交換という言葉を知らなかったのだが、最初に用いたのはアメリカの歴史学者のクロスビーで、1972年に発表したThe Columbian Exchangeから広まったということだ。日本語ではコロンブスの…

5まで数える

松崎有理氏の5まで数えるを読んだ。本作は短編集で、表題作の他に、「たとえわれ命死ぬとも」、「やつはアル・クシガイだ 疑似科学バスターズ」、「バスターズ・ライジング」、「砂漠」、「超耐水性日焼け止め開発の顛末」の6作が収められている。著者は2010…

精霊の箱 チューリングマシンをめぐる冒険

川添愛氏の精霊の箱 チューリングマシンをめぐる冒険を読んだ。これは白と黒のとびらの続編で、前作の登場人物が今作でも登場し、あたらな人物も登場してくる。今回のテーマはチューリングマシーンとなっているが、最後の所では暗号の話題も取り上げられてい…

NanoPi NEO2+NAS kit (Linux 4.14)は安定稼働させられなかった

armbianのインストールで盛大にはまる - 隠居日録の11月6日の追記にも書いたが、kernelのページング問題が結局解決できなかった。こんな感じでsyslogにエラーが吐き出される。

白と黒のとびら オートマトンと形式言語をめぐる冒険

川添愛氏の白と黒のとびらを読んだ。これはサブタイトルがついて、そこには「オートマトン」と書かれている。そう、これはあの計算理論に出てくるあの「オートマトン」だ。この本も以前から読もうと思っていたのだが、後回しにしてしまい、なかなか読む機会…

データ分析の力 因果関係に迫る思考法

伊藤公一朗氏のデータ分析の力 因果関係に迫る思考法を読んだ。最近色々な本を読んでいて、因果関係の見極めの重要さ・難しさということを痛感しているのだが、本書はどのようにしてデータ解析して、因果関係を見極めるかということに関して書かれた、初心者…

非線形科学 同期する世界

蔵本由紀氏の非線形科学 同期する世界を読んだ。一見すると異なるリズムで動いているものが、互いに影響しあって、最終的には同期する現象がある。以下のyoutubeの動画は本書の中で紹介されていたものだが、この同期する現象を端的に表している。www.youtube…

armbianのインストールで盛大にはまる

2018年の10月30日にNanoPi NEO2にarmbianをインストールし始めたのだが、初日から盛大にはまってしまった。書き込み用のイメージは月曜日にダウンロードしていて、「Armbian_5.65_Nanopineo2_Debian_stretch_next_4.14.78.img」がDebianの最新なので、これを…

秀吉の接待

二木謙一氏の秀吉の接待―毛利輝元上洛日記を読み解くを読んだ。この本を読む前にサブタイトルに「毛利輝元上洛日記を読み解く」に気付かず、秀吉側の視点に立った本だと思っていたのだが、実際はこのサブタイトルの通りで、毛利輝元側の視点に立った文書をも…

NanoPi NEO2+NAS kitがようやく届いた

以前秋葉原にNanoPi NEO2+NAS kitを買いに行ったのだが、店頭に在庫がなく買えなかった。それは一月半前の9月15日だった。prozorec.hatenablog.comその時は、本家に頼んだ方がよさそうだと思ったので、中国に発注したのだが、NAS kitを注文するところをボー…

日本人の9割がやっている残念な習慣

日本人の9割がやっている残念な習慣を読んだ。タイトルは今時の風潮を反映してか煽り的なタイトルになっている。わずか200ページ足らずだし、字が大きいので1時間半もあれば読み終わると思う。残念ながらこれで初めて見たというものはあまりなかった(あった…

兼好法師 - 徒然草に記されなかった真実

小川剛生氏の「兼好法師 - 徒然草に記されなかった真実」を読んだ。言わずと知れた徒然草の作者であるが、記憶が正しければ、私の若いことは吉田兼好という風に呼ばれていたと記憶している。しかし、本書のタイトルは兼好法師だ。なぜなら、兼好法師と吉田は…

T島事件 絶海の孤島でなぜ六人は死亡したのか

詠坂雄二氏の「 T島事件 絶海の孤島でなぜ六人は死亡したのか」を読んだ。リュミエールという映像制作会社のディレクターが本人も含めスタッフを6人連れて日本海の孤島にロケハンに出かけた。そこに案内した地元の漁師は翌日の昼に戻ってくる約束をして、島…

あだ名で読む中世史

岡地稔氏のあだ名で読む中世史を読んだ。タイトルから内容を「めずらしかったり、面白いあだ名がついている王侯貴族を切り口にして、中世の歴史を概観するような内容だろう」と勝手に想像して、読み始めたのだが、全然違った。本書はなぜヨーロッパに「あだ…

シネマの神は細部に宿る

押井守監督のシネマの神は細部に宿るを読んだ。本書は、押井監督が語り手となり、映画ライターと渡辺麻紀氏を聞き役にして、押井監督が好きなものという切り口で映画を語るインタービューをまとめたものである。押井監督が好きなものと言うと想像もつくだろ…

南朝研究の最前線

南朝研究の最前線を読んだ。日本史料研究会の「研究の最前線」シリーズの一冊で、近年の南朝研究の成果を紹介している。本書の初めでも述べられているが、南朝とは何とも捉えがたい存在だと思う。南朝が正統であるとされているが、実態は南朝は負け組であり…

探偵が早すぎる

井上真偽氏の探偵が早すぎるを読んだ。この小説も読もうと思っていたのだが、後回しになってしまい、そうこうしているうちに日テレ系で18年の夏からドラマが始まってしまった。テレビドラマを見る前に小説を読むべきだと思い、テレビドラマの方は録画してお…

NHKの番組表ウォッチサービスが終了するのでgoogle apps scriptで代替してみた

便利に使わせてもらっていたのだが、NHKの番組表ウォッチサービス終了のお知らせが発表された。b.hatena.ne.jp終了は2019年の1月31日ということだ。不定期で年に数回あるような番組を追っかけるのには最適なサービスだったので、終わってしまうのは残念だ。…

征夷大将軍研究の最前線

征夷大将軍研究の最前線を読んだ。本書は「征夷大将軍=源氏」観の歴史的な成立過程を論じるために、4つのテーマを設けている。 鎌倉幕府と征夷代将軍 室町幕府と征夷代将軍 征夷代将軍と八幡信仰 征夷代将軍の近世的展開 そもそも、頼朝は征夷代将軍を望んで…

ツチハンミョウのギャンブル

福岡先生のツチハンミョウのギャンブルを読んだ。本書はどうやら週刊文春に連載されていたもの(2015年2月から2018年1月)をまとめて一冊にしたようだ。私は普段というか全然週刊文春を読まないので、福岡先生の連載が載っていること自体知らなかった。この連…

初期室町幕府研究の最前線 ここまでわかった南北朝期の幕府体制

初期室町幕府研究の最前線 ここまでわかった南北朝期の幕府体制を読んだ。本書は成立から最盛期にいたる初期室町幕府について、政治体制・地方統治・室町殿義満・寺院政策などについて最先端の研究動向を一般の歴史ファン向けに紹介することを目的としている…