垣根涼介氏の室町無頼を読んだ。タイトルにあるように時代は室町時代で、舞台は京都。そこに集まってきた男たちの物語だ。本書は500ページを超える大作で、ストーリはゆっくりと進行していく。主人公は才蔵という17歳の少年で、赤松家牢人だった父親が亡くなり、京都に出てきて油屋の丁稚をしていたのだが、色々な縁があって骨皮道賢、蓮田兵衛に出会い、棒術使いの兵法者なっていくのが前半部分だ。そして、蓮田兵衛は閉塞した室町の世を揺さぶろうと後の世で寛正三年の土一揆と呼ばれる一揆を画策して、幕府軍に打撃を与えるさまが後半で描かれている。
500ページを超える大作なので読みごたえはあるし、内容も面白い。読後の印象もさわやかであるのがいい。無頼とタイトルについているが、骨皮道賢にしろ、蓮田兵衛にしろ、単なる無頼の徒というより自分なりの理屈に基づいて行動している。この小説の登場人物である骨皮道賢や蓮田兵衛は実在の人物であり、蓮田兵衛は一揆の首謀者として打ち取られたことになっている。後半の一揆の部分はわからないことも多いので作者の想像の部分も多数あるだろうが、そうだとしても面白く読んだ。