隠居日録

隠居日録

2016年(世にいう平成28年)、発作的に会社を辞め、隠居生活に入る。日々を読書と散歩に費やす

2024-04-01から1ヶ月間の記事一覧

でぃすぺる

今村昌弘氏のでぃすぺるを読んだ。これもある種特殊設定ミステリーだ。この物語の主人公はある地方の奥郷町に住む小学六年生の木島悠介だ。彼は半ば巻き込まれるようにして、この不思議な物語に分け入っていくことになる。事の発端は2学期に掲示係になり、同…

エピジェネティクス入門―三毛猫の模様はどう決まるのか

佐々木裕之氏のエピジェネティクス入門を読んだ。NHK BSでヒューマニエンスという番組を3月まで放送していた。この番組は生命科学に関する内容を扱っていたのだが、その中で2024年3月に猫に関する話題もあった。番組を見てちょっと驚いたのは、三毛猫のクロ…

鬼の筆 戦後最大の脚本家・橋本忍の栄光と挫折

春日太一氏の鬼の筆 戦後最大の脚本家・橋本忍の栄光と挫折を読んだ。橋本忍という脚本家の名前は知っていたが、実は知っていたのは名前といくつかの黒澤作品で脚本を書いていたということだけで、これほど日本映画に深くかかわった人だということは全く知ら…

戦国女刑事

横関大氏の戦国女刑事を読んだ。「警察というのは女社会であり、女尊男卑の風潮が色濃く残っている」と書かれていて、これだけでバカミスだというのが濃厚に漂ってくる。しかも、タイトルが「戦国女刑事」で、登場人物は戦国時代の武将のような名前を持ち、…

化学の授業をはじめます。

ボニー・ガルマスの化学の授業をはじめます。(原題 LESSONS IN CHEMISTRY)を読んだ。どこかの書評で、「テレビの料理番組で調理を化学の授業の様に進める」というような文章を見て、興味を惹かれて読んだ。確かに、本文中にそのような記述は出てくる。その部…

キュリー夫人と娘たち-二十世紀を切り開いた母娘

クロディーヌ・モンテイユのキュリー夫人と娘たち-二十世紀を切り開いた母娘 (原題 MARIE CURIE ET SES FILLES)を読んだ。日本語のタイトルは「キュリー夫人」になっているが、原題はMarie Curieになっていて、Madam Curieではない。本当にキュリー夫人とい…

さやかに星はきらめき

村山早紀氏のさやかに星はきらめきを読んだ。この連作短編集には5作収められているが、ジャンルとしては御伽噺に近いファンタジーのようなものだった。今から数百年未来の月が舞台で、その頃は地球は気候変動とか戦争により生物の棲めない惑星になっていた。…