科学
坪井貴司氏の「腸と脳」の科学 脳と体を整える、腸の知られざるはたらきを読んだ。緊張とか不安なことがあるとお腹が痛くなったり、下痢をしたりということが子供の頃はよくあった。一方、胃とか腸などは脳が直接制御しなくても、24時間自律的に動いでいる筈…
千葉聡氏のダーウィンの呪いを読んだ。この本のタイトルからどういう内容を思い浮かぶだろうか?ダーウィンが意図して呪をかけていたわけではないだろうから、我々がダーウィンの言葉を勝手に解釈して、それを奇妙な思考の枠に嵌めて、考えをゆがめていると…
河部壮一郎氏のデジタル時代の恐竜学を読んだ。恐竜の研究というと化石を調べるということが重要な部分を占めているが、近年はコンピュータを使うことにより、様々な方法で化石を数値化できるようになっている。更に数値化したデータを現存する生物と比較す…
ミチオ・カクの量子超越: 量子コンピュータが世界を変える (原題 QUANTUM SUPREMACY)を読んだ。近年量子コンピュータに関する発表があり、何となく成果が出てきているような印象を受けている。しかし、量子コンピュータの仕組みとか、どのような計算している…
毛内拡氏の脳を司る「脳」 最新研究で見えてきた、驚くべき脳のはたらきを読んだ。脳というとニューロンやシナプスが重要な組織であると思っていたが、近年の調査研究でそれ以外の組織も脳の機能に重要な役割を果たしていることがわかってきたようだ。 細胞…
スチュアート・リッチーの Science Fictions あなたが知らない科学の真実 (原題 Science Fictions: Exploring Fraud, Blas, Negligence and Hypes in Science)を読んだ。 脳はあり合わせの材料から生まれた - 隠居日録にも書いたが、多くの心理学論文には提…
佐々木裕之氏のエピジェネティクス入門を読んだ。NHK BSでヒューマニエンスという番組を3月まで放送していた。この番組は生命科学に関する内容を扱っていたのだが、その中で2024年3月に猫に関する話題もあった。番組を見てちょっと驚いたのは、三毛猫のクロ…
川越敏司氏の「意思決定」の科学 なぜ、それを選ぶのかを読んだ。本書はジョン・フォン・ノイマンとオスカー・モルゲンシュタインの「ゲームの理論と経済行動」から発展した意思決定理論に関して平易に解説した本である。何かを選択するときに、合理的に(あ…
園池公毅氏の植物の形には意味があるを読んだ。この本はタイトルそのままで、植物の形態がなぜそのようになっているのかを思考実験で考えてみようという本だ。 葉が平らで、表が緑、裏が白い理由 植物の葉というのは大体平らで、表は濃い緑色、裏はうっすら…
アナニヨ・バッタチャリヤの未来から来た男 ジョン・フォン・ノイマン (原題 THE MAN FROM THE FUTURE The Visionary Life of John von Neumann)を読んだ。フォン・ノイマンと言われて真っ先に思い出すのはノイマン型コンピュータで、未だに我々はこのアーキ…
エイミー・ウエブ、アンドリュー・ヘッセルのジェネシス・マシン 合成生物学が開く人類第2の創世記 (原題 THE GENESIS MACHINE)を読んだ。この本もタイトルに釣られて読んだのだ。特に合成生物学の辺りに惹かれたのだが、以前読んだ合成生物学の衝撃 - 隠居…
榛葉豊氏の思考実験 科学が生まれるときを読んだ。本書の前半で思考実験とはどのようなものかを説明しているのだが、科学者はなぜ神を信じるのか コペルニクスからホーキングまで - 隠居日録に関する別な観点・著者からの言及もあった。キリスト教には「自然…
池内了氏の江戸の宇宙論を読んだ。本書は志筑忠雄(筑の字の凡が卂になっているのが正しい字体)と山片蟠桃についての評伝である。山片蟠桃は名前になんとなく記憶があったが、志筑忠雄には全然記憶がなかった。しかし、志筑忠雄は鎖国論を翻訳した元オランダ…
三田一郎氏の科学者はなぜ神を信じるのか コペルニクスからホーキングまでを読んだ。この本も若干本のタイトルと内容が一致していないという印象を受けた。少なくとも科学者と言われている人たちがなぜ神を信じるのかに関して明確には主張している文書等は存…
二井一禎氏のわれら古細菌の末裔: 微生物から見た生物の進化を読んだ。私の子どもの頃は生物は動物と植物の2つに分類されるとされていた。これがいつの頃からか全く用いられなくなり、実はそのことに気付いたのはここ数年のことだ。実際ミドリムシなどは葉緑…
ローランド・エノスの「木」から辿る人類史: ヒトの進化と繁栄の秘密に迫る (原題 The Age of Wood: Our Most Useful Material and the construction of Civilization)を読んだ。本書はわれわれヒトと木がどれほど密接に関係しいるかという事を解説している…
ケヴィン・レイランドの人間性の進化的起源: なぜヒトだけが複雑な文化を創造できたのか (原題 Darwin's Unfinished Symphony)を読んだ。ヒト(だけではなく他の霊長類や哺乳類)がどのように知的生物に進化したかという事を多数の研究事例を参照しながら解説…
ポール・ハルパーンのシンクロニシティ 科学と非科学の間に (原題 SYNCHORNICITY)を読んだ。synchronicityという英単語の意味は同時性とか同時発生というような意味だが、この本では「意味のある偶然の一致」を意味している。本書で出てくる例としては、「都…
イアン・スチュアートの不確実性を飼いならす——予測不能な世界を読み解く科学 (原題 DO DICE PLAY GOD? THE MATHEMATICS OF UNCERTAINTY) を読んだ。読む前は、実際にどのようにデータを処理するかというようなことが書かれているのかと思っていたのだが、こ…
中屋敷均氏の遺伝子とは何か? 現代生命科学の新たな謎を読んだ。黄金虫変奏曲を読んでから、DNAの4つの塩基の暗号がどのように解読されたのかが気になっていたので、本書を手に取ってみた。本書では遺伝子という切り口で生命科学の歴史を振り返っている。DNA…
ジューディア・パール、 ダナ・マッケンジーの因果推論の科学 「なぜ?」の問いにどう答えるか(原題 The Book of Why The New Science of Cause and Effect)を読んだ。非常に興味深いのだが、残念ながら、この本の説明だけではよくわからないところも多々あっ…
石浦章一氏の王家の遺伝子 DNAが解き明かした世界史の謎を読んだ。タイトルで述べられている王家とはイギリスとエジプトのことだ。イギリスの王に関しては2012年に駐車場で発見された人骨にまつわる物語で、この人骨発見の件に関して10年前のことだが、全く…
バルバラ・マッツォライのロボット学者、植物に学ぶ―自然に秘められた未来のテクノロジー (原題 LA NATURA GENIALE)を読んだ。生物をモデルに模倣して、それを工学的に再現してロボットに適応するのが著者の目指している所で、このこと自体は今やあまり珍し…
エドワード・フレンケルの数学の大統一に挑む (原題 Love and Math The Heart of Hidden Reality)を読んだ。エドワード・フレンケルは旧ソビエト出身の数学者で、現在はラングランズ・プログラムという数学の中の異なる分野間の概念にお互いに密接に関係して…
山田克哉氏のE=mc2のからくり エネルギーと質量はなぜ「等しい」のかを読んだ。E=mc2はあまりにも有名な式であるけれど、アインシュタインはいったいこの式をどのように導き出したのかは以前から不思議に思っていて、この式だけではなく、どのような発想で相…
デビッド・クアメンのスピルオーバー――ウイルスはなぜ動物からヒトへ飛び移るのか (原題 Spillover Animal Infections and the Next Human Pandemic)を読んだ。スピルオーバーとは異種間伝播のことで、異なった種の間でウィルスや細菌が感染することである。…
全卓樹氏の銀河の片隅で科学夜話を読んだ。ジャンルとしては科学エッセイで、平易な文章で書かれていて、非常に読みやすい。この中で特に印象に残ったのは第13夜に出てきた「ガラム理論」だ。ガラム理論とはフランスの理論物理学者のセルジュク・ガラムが、…
ブライアン・グリーンの時間の終わりまで 物質、生命、心と進化する宇宙(原題 Until the End of Time Mind, Matter and Our Search for Meaning in Evolving Universe)を読んだ。物理学者ブライアン・グリーンが生命誕生から宇宙の終焉までを解説する。本書…
ニール・シュービンの進化の技法――転用と盗用と争いの40億年 (原題 SOME ASSEMBLY REQUIRED: Decoding Four Billion Years of Life, from Ancient Fossils to DNA)を読んだ。本書は生命の大進化が起きる仕組みを、生命科学の発見の歴史と絡めて解説した本だ…
今泉允聡氏の深層学習の原理に迫る 数学の挑戦を読んだ。本書は深層学習がなぜ既存のニューラルネットワークに比べて高い性能が出るのかについて解説している。数学的側面から解説はしているが、難しい数式は殆ど出てこない。 多層の理由 普遍近似定理で「層…