隠居日録

隠居日録

2016年(世にいう平成28年)、発作的に会社を辞め、隠居生活に入る。日々を読書と散歩に費やす

科学

生命はデジタルでできている 情報から見た新しい生命像

田口善弘氏の生命はデジタルでできているを読んだ。本書はゲノムを情報処理装置に見立て、解説をしたものだ。 セントラルドクマ セントラルドクマとは基本原理とか中心教義として日本語に訳され、その意味するところはDNA→RNA→タンパクという順に情報が伝達…

残酷な進化論

更科功氏の残酷な進化論を読んだ。本書は人体をメインテーマにした、進化にまつわる読み物だ。 タンパク質の捨て方 私達が食べる食物の中の有機物は、殆どが糖、脂肪、タンパク質である。このうち糖と脂肪が分解されると主に二酸化炭素と水になり、毒性がな…

砂と人類 いかにして砂が文明を変容させたか

ヴィンス・バイザーの砂と人類(原題 THE WORLD IN A GRAIN The Story of Sand and How It Transformed Civilization)を読んだ。この本を読む前は、砂漠化する大地と人類との攻防について書かれているのかと思ったが、それについても書かれていたが(第9章)、…

飼いならす――世界を変えた10種の動植物

アリス・ロバーツの飼いならす――世界を変えた10種の動植物(原題 Tamed: The species that changed our world)を読んだ。ある種反穀物の人類史――国家誕生のディープヒストリー - 隠居日録やコロンブスの不平等交換 作物・奴隷・疫病の世界史 - 隠居日録にも通…

日本史サイエンス 蒙古襲来、秀吉の大返し、戦艦大和の謎に迫る

播田安弘氏の日本史サイエンス 蒙古襲来、秀吉の大返し、戦艦大和の謎に迫るを読んだ。データを積み上げて、歴史的な出来事を分析して、考察する試みで、数値で裏付けをすることで、説得力を与えている。扱っているのは、元寇、秀吉の中国大返し、戦艦大和だ…

カメの甲羅はあばら骨 ~人体で表す動物図鑑~

川崎悟司氏のカメの甲羅はあばら骨を読んだ。地球上の生物には共通の形態があり、種が変わればその形態に違いがある。しかし、種が変わっても基本的な構造には共通性があるということが改めて分かる本だ。タイトルがそのものズバリを表してるが、カメの甲羅…

時間は存在しない

カルロ・ロヴェッリの時間は存在しない (原題 L'ordine del tempo)を読んだ。本書は難解だ。そのことをわきに置いておいても、日本語タイトルがミスリードだ。日本語のタイトルは「時間は存在しない」となっているが、まず筆者が言っているのは、我々がずー…

人体、なんでそうなった?

ネイサン・レンツ の人体、なんでしょうなった?(原題 HUMAN ERRORS. A Panorama of Our Glitches, from Pointless Bones to Broken Genes)を読んだ。本書は我々の体にはいかに多くの欠陥があるかということを解説した本だ。本書ではたびたび「デザイン」と…

生命進化の物理法則

チャールズ・コケルの生命進化の物理法則(原題 The Equations of Life. The Hidden Rules Shaping Evolution)を読んだ。以前、生命の歴史は繰り返すのか?ー進化の偶然と必然のナゾに実験で挑むを読んだが、その本と対になるような本で、なぜ進化の収斂が起き…

進化論はいかに進化したか

更科功氏の進化論はいかに進化したかを読んだ。本書は2部構成になっていて、まず前半でダーウィンの進化論について解説している。ダーウィンの何が正しくて、何が間違っていたのかがメインのテーマだ。後半は生物の進化がどのように起きてきたのかの仮説だ。…

絶滅できない動物たち 自然と科学の間で繰り広げられる大いなるジレンマ

M・R・オコナーの絶滅できない動物たち 自然と科学の間で繰り広げられる大いなるジレンマ(原題 Resurrection Science)を読んだ。この本の日本語のタイトルと英語のタイトルの発想が真逆になっているのが興味深い。日本語のタイトルは「絶滅できない」といい…

交雑する人類―古代DNAが解き明かす新サピエンス史

デイヴィッド・ライクの交雑する人類―古代DNAが解き明かす新サピエンス史(原題 WHO WE ARE AND HOW WE GOT HERE Ancient DNA and the New Science of the Human Past)を読んだ。従来進化の系統樹は中央の幹から枝分かれすると、そのまま分かれていき、決して…

我々はなぜ我々だけなのか アジアから消えた多様な「人類」たち

川端裕人氏の我々はなぜ我々だけなのか アジアから消えた多様な「人類」たちを読んだ。この本を著しているのは、サブタイトルになっている「アジアから消えた~」の部分であろう。かってアジアには様々な原人がいたが、その後ホモ・サピエンスがこの地域に増…

生命の歴史は繰り返すのか?ー進化の偶然と必然のナゾに実験で挑む

ジョナサン・B・ソロスの生命の歴史は繰り返すのか?ー進化の偶然と必然のナゾに実験で挑む(原題 Improbable Destinies: Fate, Chance and the Future of Evolution)を読んだ。本書は多岐にわたる例示が含まれていて非常に興味深い本だ。大きなテーマとしては…

遺伝人類学入門

太田博樹氏の遺伝人類学入門を読んだ。人類学というのは聞いたことがあるが、遺伝人類学とは何だろう?と思って読み始めた。遺伝人類学を短く言うと、人類という集団を遺伝という観点から研究する分野のようだ。これも近年遺伝子の解析が高速化・低価格化し…

ニュートンのりんご、アインシュタインの神 -科学神話の虚実-

アルベルト・A・マルティネスのニュートンのりんご、アインシュタインの神 -科学神話の虚実- (原題 Science Secrets The Truth about Darwin's Finches, Einstein's Wife and Other Myths)を読んだ。本書は科学者や科学についいて巷間に流布していて半ば伝説…

土・牛・微生物ー文明の衰退を食い止める土の話

デイビッド・モントゴメリーの土・牛・微生物ー文明の衰退を食い止める土の話(原題 Growing a Revolution)を読んだ。生物の多様化が重要だとよく言われている。私はこの言葉の意味することをあまり深く考えず、半ば盲目的に正しいものとしていたのだが、本書…

いやでも物理が面白くなる〈新版〉

志村史夫氏のいやでも物理が面白くなる〈新版〉を読んだ。本書は身近に存在する物理のテーマを光、電気、力・エネルギー、原子、時間・空間(相対性理論)の各テーマに沿って分類し、なぜそうなっているのかを分かりやすく解説している入門書である。本書のサ…

歌うカタツムリ――進化とらせんの物語

千葉聡氏の歌うカタツムリ――進化とらせんの物語を読んだ。本書の第一章は以下の文章で始まる。 歴史とカタツムリはよく似ている。どちらも繰り返す。そして螺旋を描く。 本書はダーウィンの進化論がその後どのような変遷をとげてきたかをカタツムリを軸にし…

生物の「安定」と「不安定」 生命のダイミクスを探る

浅島誠氏の生物の「安定」と「不安定」 生命のダイミクスを探るを読んだ。本書にはゲノムに関する知見、細胞間のコミュニケーション、生命を維持するための恒常性、老化などについて書かれている。NHKブックスなので、一般向けの本だと思われるが、書かれて…

非線形科学 同期する世界

蔵本由紀氏の非線形科学 同期する世界を読んだ。一見すると異なるリズムで動いているものが、互いに影響しあって、最終的には同期する現象がある。以下のyoutubeの動画は本書の中で紹介されていたものだが、この同期する現象を端的に表している。www.youtube…

ツチハンミョウのギャンブル

福岡先生のツチハンミョウのギャンブルを読んだ。本書はどうやら週刊文春に連載されていたもの(2015年2月から2018年1月)をまとめて一冊にしたようだ。私は普段というか全然週刊文春を読まないので、福岡先生の連載が載っていること自体知らなかった。この連…

植物は〈知性〉をもっている 20の感覚で思考する生命システム

ステファノ・マンクーゾ、アレッサンドラ・ヴィオラ、 マイケル・ポーランの植物は〈知性〉をもっている 20の感覚で思考する生命システム(原題 Sensibilità e intelligenza del mondo vegetale)を読んだ。本書は植物には知性があるということを色々な例示を…

エピゲノムと生命

太田邦史氏のエピゲノムと生命を読んだ。DNAが組み合わさることにより、我々を構成する細胞の遺伝情報を記録しているが、DNAの情報は変わらないのに、細胞の性質が変化し、その変化が記録・継承されるという現象がある。これをエピジェネティクスを呼んでい…

合成生物学の衝撃

須田桃子氏の 合成生物学の衝撃を読んだ。本書は毎日新聞社の記者である須田氏が米国留学中に研究・取材した「合成生物学」に関する内容を一冊にまとめたものである。合成生物学とは、人為的に遺伝子のセットを作り人工的な生命を作ったり、あるいは遺伝子を…

動的平衡3 チャンスは準備された心にのみ降り立つ

福岡伸一先生の動的平衡3 チャンスは準備された心にのみ降り立つを読んだ。いつのまにかシリーズの3作目が出ていたようだ。2を読んだときにはすでに3が出ていたことに全然気づいていなかった。 「飲めない水」の謎 かなり古い話になるが、私が大学を卒業して…

動的平衡2 生命は自由になれるのか

福岡伸一先生の「動的平衡2 生命は自由になれるのか」を読んだ。本書の出版は2011年なのでそれからもう6年も経過しているので、内容が古くなっているのかもしれない。できればこちらも新版として内容の加筆修正をしたものを出してもらえないだろうか? アミ…

脳はなぜ都合よく記憶するのか 記憶科学が教える脳と人間の不思議

ジュリア・ショウの 脳はなぜ都合よく記憶するのか (原題 The Memory Illusion)を読んだ。錯覚の科学 - 隠居日録を読んだときにも感じたことがまた蘇るような感じだ。我々が覚えていると思っていることは、本当のことなのだろうか?著者によると記憶の改変と…

新版 動的平衡: 生命はなぜそこに宿るのか

福岡伸一先生の「 新版 動的平衡: 生命はなぜそこに宿るのか」を読んだ。本書は2007年に刊行された「動的平衡」を新書化するにあたり、その後の研究成果を反映させて加筆・訂正された「新版」である。 動的平衡とは 福岡先生というと「動的平衡」という言葉…

クリスパー CRISPR 究極の遺伝子編集技術の発見

ジェニファー・ダウドナ及びサミュエル・スターンバーグの「クリスパー 究極の遺伝子編集技術の発見」(原題 A Crack in Creation: Gene Editing and the Unthinkable Power to Control Evolution)を読んだ。多分ニュートンなどの科学雑誌で「遺伝子編集技術…