隠居日録

隠居日録

2016年(世にいう平成28年)、発作的に会社を辞め、隠居生活に入る。日々を読書と散歩に費やす

科学

ロボット学者、植物に学ぶ―自然に秘められた未来のテクノロジー

バルバラ・マッツォライのロボット学者、植物に学ぶ―自然に秘められた未来のテクノロジー (原題 LA NATURA GENIALE)を読んだ。生物をモデルに模倣して、それを工学的に再現してロボットに適応するのが著者の目指している所で、このこと自体は今やあまり珍し…

数学の大統一に挑む

エドワード・フレンケルの数学の大統一に挑む (原題 Love and Math The Heart of Hidden Reality)を読んだ。エドワード・フレンケルは旧ソビエト出身の数学者で、現在はラングランズ・プログラムという数学の中の異なる分野間の概念にお互いに密接に関係して…

E=mc2のからくり エネルギーと質量はなぜ「等しい」のか

山田克哉氏のE=mc2のからくり エネルギーと質量はなぜ「等しい」のかを読んだ。E=mc2はあまりにも有名な式であるけれど、アインシュタインはいったいこの式をどのように導き出したのかは以前から不思議に思っていて、この式だけではなく、どのような発想で相…

スピルオーバー――ウイルスはなぜ動物からヒトへ飛び移るのか

デビッド・クアメンのスピルオーバー――ウイルスはなぜ動物からヒトへ飛び移るのか (原題 Spillover Animal Infections and the Next Human Pandemic)を読んだ。スピルオーバーとは異種間伝播のことで、異なった種の間でウィルスや細菌が感染することである。…

銀河の片隅で科学夜話 物理学者が語る、すばらしく不思議で美しい この世界の小さな驚異

全卓樹氏の銀河の片隅で科学夜話を読んだ。ジャンルとしては科学エッセイで、平易な文章で書かれていて、非常に読みやすい。この中で特に印象に残ったのは第13夜に出てきた「ガラム理論」だ。ガラム理論とはフランスの理論物理学者のセルジュク・ガラムが、…

時間の終わりまで 物質、生命、心と進化する宇宙

ブライアン・グリーンの時間の終わりまで 物質、生命、心と進化する宇宙(原題 Until the End of Time Mind, Matter and Our Search for Meaning in Evolving Universe)を読んだ。物理学者ブライアン・グリーンが生命誕生から宇宙の終焉までを解説する。本書…

進化の技法――転用と盗用と争いの40億年

ニール・シュービンの進化の技法――転用と盗用と争いの40億年 (原題 SOME ASSEMBLY REQUIRED: Decoding Four Billion Years of Life, from Ancient Fossils to DNA)を読んだ。本書は生命の大進化が起きる仕組みを、生命科学の発見の歴史と絡めて解説した本だ…

深層学習の原理に迫る 数学の挑戦

今泉允聡氏の深層学習の原理に迫る 数学の挑戦を読んだ。本書は深層学習がなぜ既存のニューラルネットワークに比べて高い性能が出るのかについて解説している。数学的側面から解説はしているが、難しい数式は殆ど出てこない。 多層の理由 普遍近似定理で「層…

ディープラーニング 学習する機械 ヤン・ルカン、人工知能を語る

ヤン・ルカンの「ディープラーニング 学習する機械 ヤン・ルカン、人工知能を語る」を読んだ。本書はヤン・ルカンの研究者としてのこれまでの歩みを語りつつ、ディープラーニングの内容について易しく概要を説明している。畳み込みニューラルネットに関して…

世界は「関係」でできている 美しくも過激な量子論

カルロ・ロヴェッリの世界は「関係」でできている 美しくも過激な量子論 (原題 Helgoland)を読んだ。原題のHelgolandとは何か?Helgolandとはドイツにある島の名前で、北海上に浮かび、ハンブルグとかブレーメンから割と近いところにある。なぜこの島の名前…

統計学を拓いた異才たち―経験則から科学へ進展した一世紀

デイヴィッド・サルツブルグの統計学を拓いた異才たち―経験則から科学へ進展した一世紀 (原題 The Lady Tasting Tea)を読んだ。以前統計の歴史 - 隠居日録を読んだのだが、思っていたような本ではなかったので、それらしい本はないかと探していて見つけたの…

量子とはなんだろう 宇宙を支配する究極のしくみ

松浦壮氏の量子とはなんだろう 宇宙を支配する究極のしくみを読んだ。何冊か量子力学の本を読んできたが、未だに良くわかっていない。量子は粒子の性質と波の性質を併せ持っている(というか、そういう性質のあるものを量子と呼んでいる)のは分かるのだが、で…

生命はデジタルでできている 情報から見た新しい生命像

田口善弘氏の生命はデジタルでできているを読んだ。本書はゲノムを情報処理装置に見立て、解説をしたものだ。 セントラルドクマ セントラルドクマとは基本原理とか中心教義として日本語に訳され、その意味するところはDNA→RNA→タンパクという順に情報が伝達…

残酷な進化論

更科功氏の残酷な進化論を読んだ。本書は人体をメインテーマにした、進化にまつわる読み物だ。 タンパク質の捨て方 私達が食べる食物の中の有機物は、殆どが糖、脂肪、タンパク質である。このうち糖と脂肪が分解されると主に二酸化炭素と水になり、毒性がな…

砂と人類 いかにして砂が文明を変容させたか

ヴィンス・バイザーの砂と人類(原題 THE WORLD IN A GRAIN The Story of Sand and How It Transformed Civilization)を読んだ。この本を読む前は、砂漠化する大地と人類との攻防について書かれているのかと思ったが、それについても書かれていたが(第9章)、…

飼いならす――世界を変えた10種の動植物

アリス・ロバーツの飼いならす――世界を変えた10種の動植物(原題 Tamed: The species that changed our world)を読んだ。ある種反穀物の人類史――国家誕生のディープヒストリー - 隠居日録やコロンブスの不平等交換 作物・奴隷・疫病の世界史 - 隠居日録にも通…

日本史サイエンス 蒙古襲来、秀吉の大返し、戦艦大和の謎に迫る

播田安弘氏の日本史サイエンス 蒙古襲来、秀吉の大返し、戦艦大和の謎に迫るを読んだ。データを積み上げて、歴史的な出来事を分析して、考察する試みで、数値で裏付けをすることで、説得力を与えている。扱っているのは、元寇、秀吉の中国大返し、戦艦大和だ…

カメの甲羅はあばら骨 ~人体で表す動物図鑑~

川崎悟司氏のカメの甲羅はあばら骨を読んだ。地球上の生物には共通の形態があり、種が変わればその形態に違いがある。しかし、種が変わっても基本的な構造には共通性があるということが改めて分かる本だ。タイトルがそのものズバリを表してるが、カメの甲羅…

時間は存在しない

カルロ・ロヴェッリの時間は存在しない (原題 L'ordine del tempo)を読んだ。本書は難解だ。そのことをわきに置いておいても、日本語タイトルがミスリードだ。日本語のタイトルは「時間は存在しない」となっているが、まず筆者が言っているのは、我々がずー…

人体、なんでそうなった?

ネイサン・レンツ の人体、なんでしょうなった?(原題 HUMAN ERRORS. A Panorama of Our Glitches, from Pointless Bones to Broken Genes)を読んだ。本書は我々の体にはいかに多くの欠陥があるかということを解説した本だ。本書ではたびたび「デザイン」と…

生命進化の物理法則

チャールズ・コケルの生命進化の物理法則(原題 The Equations of Life. The Hidden Rules Shaping Evolution)を読んだ。以前、生命の歴史は繰り返すのか?ー進化の偶然と必然のナゾに実験で挑むを読んだが、その本と対になるような本で、なぜ進化の収斂が起き…

進化論はいかに進化したか

更科功氏の進化論はいかに進化したかを読んだ。本書は2部構成になっていて、まず前半でダーウィンの進化論について解説している。ダーウィンの何が正しくて、何が間違っていたのかがメインのテーマだ。後半は生物の進化がどのように起きてきたのかの仮説だ。…

絶滅できない動物たち 自然と科学の間で繰り広げられる大いなるジレンマ

M・R・オコナーの絶滅できない動物たち 自然と科学の間で繰り広げられる大いなるジレンマ(原題 Resurrection Science)を読んだ。この本の日本語のタイトルと英語のタイトルの発想が真逆になっているのが興味深い。日本語のタイトルは「絶滅できない」といい…

交雑する人類―古代DNAが解き明かす新サピエンス史

デイヴィッド・ライクの交雑する人類―古代DNAが解き明かす新サピエンス史(原題 WHO WE ARE AND HOW WE GOT HERE Ancient DNA and the New Science of the Human Past)を読んだ。従来進化の系統樹は中央の幹から枝分かれすると、そのまま分かれていき、決して…

我々はなぜ我々だけなのか アジアから消えた多様な「人類」たち

川端裕人氏の我々はなぜ我々だけなのか アジアから消えた多様な「人類」たちを読んだ。この本を著しているのは、サブタイトルになっている「アジアから消えた~」の部分であろう。かってアジアには様々な原人がいたが、その後ホモ・サピエンスがこの地域に増…

生命の歴史は繰り返すのか?ー進化の偶然と必然のナゾに実験で挑む

ジョナサン・B・ソロスの生命の歴史は繰り返すのか?ー進化の偶然と必然のナゾに実験で挑む(原題 Improbable Destinies: Fate, Chance and the Future of Evolution)を読んだ。本書は多岐にわたる例示が含まれていて非常に興味深い本だ。大きなテーマとしては…

遺伝人類学入門

太田博樹氏の遺伝人類学入門を読んだ。人類学というのは聞いたことがあるが、遺伝人類学とは何だろう?と思って読み始めた。遺伝人類学を短く言うと、人類という集団を遺伝という観点から研究する分野のようだ。これも近年遺伝子の解析が高速化・低価格化し…

ニュートンのりんご、アインシュタインの神 -科学神話の虚実-

アルベルト・A・マルティネスのニュートンのりんご、アインシュタインの神 -科学神話の虚実- (原題 Science Secrets The Truth about Darwin's Finches, Einstein's Wife and Other Myths)を読んだ。本書は科学者や科学についいて巷間に流布していて半ば伝説…

土・牛・微生物ー文明の衰退を食い止める土の話

デイビッド・モントゴメリーの土・牛・微生物ー文明の衰退を食い止める土の話(原題 Growing a Revolution)を読んだ。生物の多様化が重要だとよく言われている。私はこの言葉の意味することをあまり深く考えず、半ば盲目的に正しいものとしていたのだが、本書…

いやでも物理が面白くなる〈新版〉

志村史夫氏のいやでも物理が面白くなる〈新版〉を読んだ。本書は身近に存在する物理のテーマを光、電気、力・エネルギー、原子、時間・空間(相対性理論)の各テーマに沿って分類し、なぜそうなっているのかを分かりやすく解説している入門書である。本書のサ…