隠居日録

隠居日録

2016年(世にいう平成28年)、発作的に会社を辞め、隠居生活に入る。日々を読書と散歩に費やす

ジェネシス・マシン 合成生物学が開く人類第2の創世記

エイミー・ウエブ、アンドリュー・ヘッセルのジェネシス・マシン 合成生物学が開く人類第2の創世記 (原題 THE GENESIS MACHINE)を読んだ。この本もタイトルに釣られて読んだのだ。特に合成生物学の辺りに惹かれたのだが、以前読んだ合成生物学の衝撃 - 隠居日録と比べると、あまり出来が良くないと思う。まず、この本は二人の作者の共著になっている。エイミー・ウエブは作家、アンドリュー・ヘッセルは遺伝学者・起業家・科学コミュニケーターという肩書になっている。彼らがどのように本書を書いたのかよくわからない。本書には当然色々なキーワードが出てくるが、その詳細についてはほとんど彼らは説明しない。参考文献を見ろという事なのかもしれないが、それはあまりにも不親切に感じた。

それとまたタイトルに騙されたような感じがする。英語の原題には合成生物学などという言葉はないので、日本語のタイトルのその部分に惹かれて読んだ私はまんまと釣られたわけだ。本書で扱っているのはどちらかというとバイオテクノロジー全般で、合成生物に特化した内容ではない。本書では扱う内容を「起源」、「現在」、「未来」という風に分けている。この3つでまあ面白かったのは「起源」の所だろう。ヒトインスリンの開発が野良犬の脾臓に始まり、牛の脾臓に移ったが、それでも必要量を賄いきれなくて、ついにバイオテクノロジーにより大腸菌インスリンを生成するようにしたというのは初めて知った。「未来」の部分はきっと作家のウエブが中心になって書いたのだろうが、あっと驚くような内容が書かれているわけでもなかった。