隠居日録

2016年(世にいう平成28年)、発作的に会社を辞め、隠居生活に入る。日々を読書と散歩に費やす

読書

5まで数える

松崎有理氏の5まで数えるを読んだ。本作は短編集で、表題作の他に、「たとえわれ命死ぬとも」、「やつはアル・クシガイだ 疑似科学バスターズ」、「バスターズ・ライジング」、「砂漠」、「超耐水性日焼け止め開発の顛末」の6作が収められている。著者は2010…

精霊の箱 チューリングマシンをめぐる冒険

川添愛氏の精霊の箱 チューリングマシンをめぐる冒険を読んだ。これは白と黒のとびらの続編で、前作の登場人物が今作でも登場し、あたらな人物も登場してくる。今回のテーマはチューリングマシーンとなっているが、最後の所では暗号の話題も取り上げられてい…

白と黒のとびら オートマトンと形式言語をめぐる冒険

川添愛氏の白と黒のとびらを読んだ。これはサブタイトルがついて、そこには「オートマトン」と書かれている。そう、これはあの計算理論に出てくるあの「オートマトン」だ。この本も以前から読もうと思っていたのだが、後回しにしてしまい、なかなか読む機会…

データ分析の力 因果関係に迫る思考法

伊藤公一朗氏のデータ分析の力 因果関係に迫る思考法を読んだ。最近色々な本を読んでいて、因果関係の見極めの重要さ・難しさということを痛感しているのだが、本書はどのようにしてデータ解析して、因果関係を見極めるかということに関して書かれた、初心者…

非線形科学 同期する世界

蔵本由紀氏の非線形科学 同期する世界を読んだ。一見すると異なるリズムで動いているものが、互いに影響しあって、最終的には同期する現象がある。以下のyoutubeの動画は本書の中で紹介されていたものだが、この同期する現象を端的に表している。www.youtube…

秀吉の接待

二木謙一氏の秀吉の接待―毛利輝元上洛日記を読み解くを読んだ。この本を読む前にサブタイトルに「毛利輝元上洛日記を読み解く」に気付かず、秀吉側の視点に立った本だと思っていたのだが、実際はこのサブタイトルの通りで、毛利輝元側の視点に立った文書をも…

日本人の9割がやっている残念な習慣

日本人の9割がやっている残念な習慣を読んだ。タイトルは今時の風潮を反映してか煽り的なタイトルになっている。わずか200ページ足らずだし、字が大きいので1時間半もあれば読み終わると思う。残念ながらこれで初めて見たというものはあまりなかった(あった…

兼好法師 - 徒然草に記されなかった真実

小川剛生氏の「兼好法師 - 徒然草に記されなかった真実」を読んだ。言わずと知れた徒然草の作者であるが、記憶が正しければ、私の若いことは吉田兼好という風に呼ばれていたと記憶している。しかし、本書のタイトルは兼好法師だ。なぜなら、兼好法師と吉田は…

T島事件 絶海の孤島でなぜ六人は死亡したのか

詠坂雄二氏の「 T島事件 絶海の孤島でなぜ六人は死亡したのか」を読んだ。リュミエールという映像制作会社のディレクターが本人も含めスタッフを6人連れて日本海の孤島にロケハンに出かけた。そこに案内した地元の漁師は翌日の昼に戻ってくる約束をして、島…

あだ名で読む中世史

岡地稔氏のあだ名で読む中世史を読んだ。タイトルから内容を「めずらしかったり、面白いあだ名がついている王侯貴族を切り口にして、中世の歴史を概観するような内容だろう」と勝手に想像して、読み始めたのだが、全然違った。本書はなぜヨーロッパに「あだ…

シネマの神は細部に宿る

押井守監督のシネマの神は細部に宿るを読んだ。本書は、押井監督が語り手となり、映画ライターと渡辺麻紀氏を聞き役にして、押井監督が好きなものという切り口で映画を語るインタービューをまとめたものである。押井監督が好きなものと言うと想像もつくだろ…

南朝研究の最前線

南朝研究の最前線を読んだ。日本史両研究会の「研究の最前線」シリーズの一冊で、近年の南朝研究の成果を紹介している。本書の初めでも述べられているが、南朝とは何とも捕えがたい存在だと思う。南朝が正統であるとされているが、実態は南朝は負け組であり…

探偵が早すぎる

井上真偽氏の探偵が早すぎるを読んだ。この小説も読もうと思っていたのだが、後回しになってしまい、そうこうしているうちに日テレ系で18年の夏からドラマが始まってしまった。テレビドラマを見る前に小説を読むべきだと思い、テレビドラマの方は録画してお…

征夷大将軍研究の最前線

征夷大将軍研究の最前線を読んだ。本書は「征夷大将軍=源氏」観の歴史的な成立過程を論じるために、4つのテーマを設けている。 鎌倉幕府と征夷代将軍 室町幕府と征夷代将軍 征夷代将軍と八幡信仰 征夷代将軍の近世的展開 そもそも、頼朝は征夷代将軍を望んで…

ツチハンミョウのギャンブル

福岡先生のツチハンミョウのギャンブルを読んだ。本書はどうやら週刊文春に連載されていたもの(2015年2月から2018年1月)をまとめて一冊にしたようだ。私は普段というか全然週刊文春を読まないので、福岡先生の連載が載っていること自体知らなかった。この連…

初期室町幕府研究の最前線 ここまでわかった南北朝期の幕府体制

初期室町幕府研究の最前線 ここまでわかった南北朝期の幕府体制を読んだ。本書は成立から最盛期にいたる初期室町幕府について、政治体制・地方統治・室町殿義満・寺院政策などについて最先端の研究動向を一般の歴史ファン向けに紹介することを目的としている…

植物は〈知性〉をもっている 20の感覚で思考する生命システム

ステファノ・マンクーゾ、アレッサンドラ・ヴィオラ、 マイケル・ポーランの植物は〈知性〉をもっている 20の感覚で思考する生命システム(原題 Sensibilità e intelligenza del mondo vegetale)を読んだ。本書は植物には知性があるということを色々な例示を…

満願

米澤穂信氏の満願を読んだ。この本も読もうと思っていたのだが、すっかり忘れていた。先日NHKでこの小説をドラマ化したものが放送されていて、これはドラマを見るよりも先に本を読んでおくべきだなと思い読み始めた。米澤氏といえば日常の謎のミステリーとい…

蒲公英草紙―常野物語

恩田陸氏の蒲公英草紙―常野物語を読んだ。この作品は光の帝国 常野物語 - 隠居日録につながる物語の一冊で、この小説も読もうと思っていたのだが、一年以上も間が空いてしまっていた。物語は二十世紀初頭の宮城県の南部、山を越えればすぐ福島というある地方…

GOSICK GREEN

桜庭一樹氏のGOSICK GREENを読んだ。グレイウルフ探偵社シリーズ第四弾。2013年から年末に毎年刊行されていたのだが、昨年の2017年には出版されなかった。一時休止なのか、暫く休止なのかわわからない。今回の時間軸は前作のPINKの翌日になっている。今回の…

GOSICK PINK

桜庭一樹氏のGOSICK PINKを読んだ。GOSICKの新大陸グレイウルフ探偵社編第三弾だが、時系列はBLUEの翌日になっている。GOSICK BLUEの事件での翌日、一弥はヴィクトリカと連れ立ってニューヨークの町に出た。第一の目的は仕事探し、それから住居探し。だが、…

GOSICK BLUE

桜庭一樹氏のGOSICK BLUEを読んだ。GOSICKの新大陸グレイウルフ探偵社編第二弾だが、実は時系列が巻戻ってREDより前の話となる。ヴィクトリカと久城一弥は正に移民船で旧大陸から新大陸に向かい、まさにニューヨークに到着したところだった。なぜ彼らが旧大…

GOSICK RED

桜庭 一樹氏のGOSICK REDを読んだ。GOSICKの後に色がついてるシリーズはRED、BULE、PINK、GREENと4冊出ていて、このシリーズでの時代設定は1931年で、ヴィクトリカと久城一弥はニューヨークに移り住んでいる。ヴィクトリカはグレイウルフ探偵社の探偵を、一…

月の満ち欠け

佐藤正午氏の 月の満ち欠けを読んだ。東北新幹線のはやぶさで八戸から上京した小山内堅が午前十一時から午後一時頃までの間に東京駅で見聞きした出来事と、過去の出来事とを交互に描くことで、一件ありえない不思議な話に現実味を与えるそんな小説だ。小山内…

藤原道長の日常生活

倉本一宏先生の 藤原道長の日常生活を読んだ。本書は狙いは、藤原道長の「御堂関白記」、藤原実資の「小右記」、藤原行成の「権記」の日記の内容をもとに藤原道長の実像に迫るというものである。倉本先生は「一般に平安時代の貴族たち対する理解というのは、…

図書館島

ソフィア・サマターの図書館島(原題 Stranger in Olondria)を読んだ。タイトルに「図書館」とか「図書室」とあると、なんとなく読んでみたくなる。この本もそんな一冊なのだが、「日本語のタイトルの図書館島というのはこの本のタイトルにはあまりふさわしく…

蜜蜂

マヤ・ルンデの蜜蜂 (原題 Bienes Historie 蜜蜂の歴史)を読んだ。この物語は三つの家族の物語で、三つの異なった時間軸を三つの異なった語り手が物語を進めていく。第一の視点は2098年の四川省に住むタオという女性。彼女の住む世界ではすでに蜜蜂が絶滅し…

あなたを支配し、社会を破壊する、AI・ビッグデータの罠

キャシー・オニールのあなたを支配し、社会を破壊する、AI・ビッグデータの罠 (原題 Weapon of Math Destruction)を読んだ。本書の著者キャシー・オニールは異色の経歴の持ち主だ。彼女は数学者であり、大学で数学を専攻して博士号を取得し、コロンビア大学…

修道女フィデルマの探求

ピーター・トレメインの修道女フィデルマの探求を読んだ。本書はの主人公のフィデルマは修道女であり、アイルランド5王国のひとつモアン国の王位継承予定者の妹であり、法廷弁護士(ドーリィー)でもある。しかも、場合によっては裁判官として判決を下すことも…

コルヌトピア

津久井五月氏の コルヌトピアを読んだ。本作は2017年の第五回ハヤカワSFコンテスト大賞受賞作である。西暦2049年東京都心南部で直下型地震が発生し、荒川両岸と環状八号線沿いの建物が焼失・倒壊し、三万五千人の人々が亡くなった。その災害復興の過程で、被…