隠居日録

隠居日録

2016年(世にいう平成28年)、発作的に会社を辞め、隠居生活に入る。日々を読書と散歩に費やす

読書

君の地球が平らになりますように

斜線堂有紀氏の君の地球が平らになりますようにを読んだ。一応ジャンルとしては恋愛小説に属すると思うのだが、この作者の書く物語なので、単純な恋愛ではなく、読後爽やかというような小説でもない。本書は短編集で、「君の地球が平らになりますように」、…

走馬灯のセトリは考えておいて

柴田勝家氏の走馬灯のセトリは考えておいてを読んだ。本書はSF短編集で「オンライン福男」、「クランツマンの秘仏」、「絶滅の作法」、「火星環境下における宗教性原虫の適応と分布」、「姫日記」、「走馬灯のセトリは考えておいて」の6編。「オンライン福男…

あの図書館の彼女たち

ジャネット・スケスリン・チャールズのあの図書館の彼女たち (原題 THE PARIS LIBRARY)を読んだ。本書の舞台の一つはパリにあるアメリカ図書館で、これは実際にパリに存在する図書館なのだという。第一次世界大戦中にアメリカの図書館から戦地の兵士に送られ…

#真相をお話しします

結城真一郎氏の #真相をお話ししますを読んだ。本書はジャンルとしてはミステリーで、「惨者面談」、「ヤリモク」、「パンドラ」、「三角奸計」、「#拡散希望」の5編が収められた短編集だ。本書をネタバレせずに説明するのは非常に難しい。それぞれのストー…

ボマーマフィアと東京大空襲 精密爆撃の理想はなぜ潰えたか

マルコム・グラッドウェルのボマーマフィアと東京大空襲 精密爆撃の理想はなぜ潰えたか (原題 THE BOMBER MAFIA)を読んだ。以前NHK BSプレミアムで放送されていた映像の世紀プレミアムで太平洋戦争時の東京空襲に触れている回があり、その中で、「米軍は当初…

修道女フィデルマの采配

ピーター・トレメインの修道女フィデルマの采配を読んだ。本書には「みずからの殺害を予告した占星術師」、「魚泥棒は誰か」、「養い親」、「「狼だ!」」、「法定相続人」の5編が収められている。この中の「養い親」は珍しい「養育制度」というアイルランド…

修道女フィデルマの挑戦

ピーター・トレメインの修道女フィデルマの挑戦を読んだ。本書は短編集で、「化粧ポウチ」、「痣」、「死者の囁き」、「バンシー」、「消えた鷲」、「昏い月 昇る夜」の6編が収められている。最初の「化粧ポウチ」ではフィデルマはまだ16歳ぐらいで、ちょう…

コード・ガールズ――日独の暗号を解き明かした女性たち

ライザ・マンディのコード・ガールズ――日独の暗号を解き明かした女性たち (原題 CODE GIRLS The Untold story of American Women Code Breakers of Wold War II)を読んだ。本書は暗号解読の役割を担った女性たちという切り口で第二次世界大戦中を描いている…

黄金虫変奏曲

リチャード・パワーズの黄金虫変奏曲 (原題 The Gold Bug Variations)を読んだ。何かでこの本事が紹介されていて、 原題 のタイトルはエドガー・アラン・ポーのGold-Bug(黄金虫)とバッハのゴールドベルグ変奏曲をかけ合わせた物である。 DNAの4つの塩基が何…

大聖堂・製鉄・水車―中世ヨーロッパのテクノロジー

ジョゼフ・ギース、フランシス・ギースの大聖堂・製鉄・水車―中世ヨーロッパのテクノロジー (原題 Cathedral, Forge, and Waterwheel Technology and Invention in the Middle Ages)を読んだ。読む前は、中世時代にヨーロッパで発明されたものに関する本だと…

神々の捏造 イエスの弟をめぐる「世紀の事件」

ニナ・バーリーの神々の捏造 イエスの弟をめぐる「世紀の事件」 (原題 Unholy Business)を読んだ。西洋の古美術・骨董の世界(とくに宗教に関係するようなものは)は何か常人では理解不能なもののように感じていたが、本書を読んでその気持ちが強くなった。本…

仕掛島

東川篤哉氏の 仕掛島を読んだ。孤島、遺産相続、悪天候による外界との隔絶、そして殺人事件といかにもの設定のミステリーで、これで連続殺人事件なら完璧だったのにと思ってしまった。東川氏の作品をすべて読んでいるわけではないが、このような設定のミステ…

Slowdown 減速する素晴らしき世界

ダニー・ドーリングのSlowdown 減速する素晴らしき世界 (原題 Slowdown The End of the Great Acceleration - and Why It's Good for the Planet, the Economy and Our Live)を読んだ。本書は色々なデータを例示しながら、いかに我々を取り巻く色々な物事が…

金環日蝕

阿部暁子氏の金環日蝕を読んだ。森川春風は帰宅しようとしていた時に、近所に住んでいる小佐田サヨ子がひったくりに会っていたところに出くわし、とっさにその犯人を追いかけた。たまたまその場に居合わせた男子高校生と犯人を挟み撃ちにしたのだが、運悪く…

太陽諸島

多和田葉子氏の太陽諸島を読んだ。「地球にちりばめられて」 、「星に仄めかされて」に続くこの3部作シリーズの最終巻のはず。前巻の最後で、彼ら一行は日本が一体どうなっているのか調べるために、日本に向けて旅立つことになったのだが、選んだのはコペン…

invert II 覗き窓の死角

相沢沙呼氏のinvert II 覗き窓の死角を読んだ。城塚翡翠シリーズの3作目。本作も倒叙ミステリーになっていて、中編2作が収録されており、タイトルはそれぞれ、「生者の言伝」、「覗き窓ファインダーの死角」。「生者の言伝」は翡翠と真が山道を走っている時…

南北戦争 アメリカを二つに裂いた内戦

小川寛大氏の南北戦争 アメリカを二つに裂いた内戦を読んだ。南北戦争に関しては中学か高校の世界史で学んだという記憶があるぐらいで、北部の州は奴隷解放、南部の州は奴隷制維持を掲げて戦ったという事ぐらいしか、記憶に残っていなかった。後年、アメリカ…

あなたへの挑戦状

阿津川辰海氏、斜線堂有紀氏のあなたへの挑戦状を読んだ。二人の作家の競作という事なのだが、どのような競作かというと、ある謎を相手に出題し、その謎を受け取った側はその謎を解明するための推理小説を書くというような競作だ。なので、本書には2編収めら…

因果推論の科学 「なぜ?」の問いにどう答えるか

ジューディア・パール、 ダナ・マッケンジーの因果推論の科学 「なぜ?」の問いにどう答えるか(原題 The Book of Why The New Science of Cause and Effect)を読んだ。非常に興味深いのだが、残念ながら、この本の説明だけではよくわからないところも多々あっ…

王家の遺伝子 DNAが解き明かした世界史の謎

石浦章一氏の王家の遺伝子 DNAが解き明かした世界史の謎を読んだ。タイトルで述べられている王家とはイギリスとエジプトのことだ。イギリスの王に関しては2012年に駐車場で発見された人骨にまつわる物語で、この人骨発見の件に関して10年前のことだが、全く…

夏鳥たちのとまり木

奥田亜希子氏の夏鳥たちのとまり木を読んだ。この作品も、本の雑誌で北上氏が紹介していた小説だ。www.webdoku.jp埼玉県の公立中学校に勤める田丸葉奈子の担任の生徒が連絡は付くものの外泊をして家に帰らないという出来事が起きた。その出来事を起点に、葉…

あさとほ

新名智氏のあさとほを読んだ。この小説はどのジャンルに入るのか判断に苦しむ。何とも言えない不思議なストーリだった。大橋夏日には青葉という名前の双子の妹がいたはずなのだが、小学生の頃のある日廃屋を探検している時にいなくなってしまった。不思議な…

録音された誘拐

阿津川辰海氏の録音された誘拐を読んだ。これはよくできたミステリーだ。タイトルにある通り、このミステリーで扱っているのは誘拐事件だ。本書の中でも散々指摘されているが、今時営利誘拐ほどリスキーな犯罪はないだろう。決定的な問題は身代金回収のため…

地図と拳

小川哲氏の地図と拳を読んだ。この小説を一言で言い表すのは難しい。ゲームの王国のように途中から時間が未来に進むのかと思ったのだが、時間軸は常に過去にあり、20世紀の前半を仙桃城という満州にあったとする架空の都市を中心に、中国と日本とソビエトの…

氏名の誕生 ――江戸時代の名前はなぜ消えたのか

尾脇秀和の氏名の誕生 ――江戸時代の名前はなぜ消えたのかを読んだ。本書は江戸時代まで使われていた人名の構成方法が、明治政府の誕生により捨て去られて、今の氏名という形式になった経緯が記されている。その前提として、江戸時代の後期の頃はどのように人…

指差す標識の事例

イーアン・ペアーズの指差す標識の事例 (原題 An Instance of the Fingerpost)を読んだ。この小説は上下巻合わせて1100ページを超える大作のミステリーだ。しかも構成が変わっている。4人の手になる手記が収められていて、ある殺人事件にまつわる出来事をそ…

英語の階級 執事は「上流の英語」を話すのか?

新井潤美氏の英語の階級 執事は「上流の英語」を話すのか?を読んだ。イギリス英語は落とし穴だらけ - 隠居日録を読んだときにも感じたが、イギリス英語はややこしい、というかめんどくさいと改めて感じた。階級により、使う単語、言い回し、アクセントが違う…

二重らせんのスイッチ

辻堂ゆめ氏の二重らせんのスイッチを読んだ。これはミステリーに属する小説だが、主人公の桐谷雅樹は犯人で、被害者でもあり、探偵役を担っている。実際には犯人に間違われて、その後に巻き込まれた事件では被害者になり、そしていったい何が起きていたのか…

われら闇より天を見る

クリス・ウィタカーのわれら闇より天を見る (原題 We Begin at the End)を読んだ。本書は北上ラジオの第49回で紹介されていた。 www.youtube.com最初のプロローグで少女が失踪し、住民皆で捜索を開始したところが描かれているが、わずか2ページ足らずで、何…

見つけたいのは、光。

飛鳥井千砂氏の見つけたいのは、光。 を読んだ。この本は北上ラジオの第47回で紹介されていた。www.youtube.comなかなか説明するのが難しいが、30代から40代の三人の女性が抱えている色々な問題(恋愛、結婚、出産、子育て、仕事)などに関して、最初は見方が…