隠居日録

隠居日録

2016年(世にいう平成28年)、発作的に会社を辞め、隠居生活に入る。日々を読書と散歩に費やす

読書

密告者ステラ ~ヒトラーにユダヤ人同胞を売った女

ピーター・ワイデンの密告者ステラ ~ヒトラーにユダヤ人同胞を売った女(原題 Stella One Woman's True Tale of Evil, Betrayal, and Survival in Hitler's Germany)を読んだ。この本はタイトルにあるように密告者の物語で、第二次世界大戦中にベルリンに潜伏…

統計外事態

芝村裕吏氏の統計外事態を読んだ。 統計外事態という文字列を見て、どういう風に区切るのかちょっとよくわからなかった。知っている単語で見ていくと、「統計」「外事」「態」だ。そうすると、これは/統計/外事/態/と区切るのかとも思えるのだが、それだと意…

invert 城塚翡翠倒叙集

相沢沙呼氏のinvert 城塚翡翠倒叙集を読んだ。あの城塚翡翠の続編が出るとは思っていなかったので、かなり意外だった。というのも、前作の構成があまりにも見事で、あの構成を踏襲した形での続編は無理だと思ったからだ。なので、この作品はタイトルのように…

信長徹底解読 ここまでわかった本当の姿

信長徹底解読 ここまでわかった本当の姿を読んだ。織田信長と言えば日本の歴史上の武将でも有名な人物で、知らない人はいないだろう。しかし、実際の信長の行ったことと物語の中での信長とがなんとなく混然一体となっていて、どこまでが歴史としてわかってい…

冤罪と人類 道徳感情はなぜ人を誤らせるのか

管賀江留郎氏の冤罪と人類 道徳感情はなぜ人を誤らせるのかを読んだ。この本の内容を一言でいうなら、「なぜ冤罪は起きるのか」という事なのだが、その部分に直接的に言及しているのは約600ページある本文中の13章の約90ページで、では他の約510ページは何に…

Numbers Don't Lie 世界のリアルは「数字」でつかめ!

バーツラフ・シュミル のNumbers Don't Lie 世界のリアルは「数字」でつかめ!(原題 Numbers Don't Lie 71 Things You Need to Know About the World)を読んだ。表紙の折り返しの所に「信頼できる数字とデーターで驚くべき事実を明らかにする。」と書かれてい…

絶対に面白い化学入門 世界史は化学でできている

左巻健男氏の絶対に面白い化学入門 世界史は化学でできているを読んだ。タイトルに「化学入門」とついているが、入門書というよりは人類の歴史の中での化学的な発見とかその成果のエピソード集といった感じの本だ。すでに知っていることもあったが、知らない…

水よ踊れ

岩井圭也氏の水よ踊れを読んだ。この作品は北上ラジオの第34回で紹介されていた。www.youtube.com香港が中国に返還されて約四半世紀が経過した。この物語が始まるのはちょうど香港が返還される前年の1996年の夏からだ。日本の大学に通う瀬戸和志は交換留学生…

量子とはなんだろう 宇宙を支配する究極のしくみ

松浦壮氏の量子とはなんだろう 宇宙を支配する究極のしくみを読んだ。何冊か量子力学の本を読んできたが、未だに良くわかっていない。量子は粒子の性質と波の性質を併せ持っている(というか、そういう性質のあるものを量子と呼んでいる)のは分かるのだが、で…

日本神判史

清水克行氏の日本神判史を読んだ。有罪であるか無罪であるかを神に問い判決を下すのが神判であり、かってこの日本でもそのような事が行われていた。日本書紀にも竹内宿禰が「深湯」を行ったという記録があり、これ以外にも日本書紀に2件あるという。「深湯」…

西洋美術とレイシズム

岡田温司氏の西洋美術とレイシズムを読んだ。本書は、西洋美術、とりわけキリスト教美術とレイシズムは密接なつながりがあるという事を指摘した本だ。この本を読んで、実は美術だけにとどまらず、キリスト教自身がレイシズムと密接に関係があるのだろうと思…

三月は深き紅の淵を

恩田陸氏の「三月は深き紅の淵を」を読んだ。このタイトルからはどのような内容なのか全くわからない。読んだ後でも、このタイトルは何を意味しているのかよくわからない。この小説は4つの短編から成り立っている。が、その前にロワルド・ダールのチャーリー…

アクティベイター

冲方丁氏のアクティベイターを読んだ。この小説のジャンルとしてはスパイ小説に属するだろう。物語は中国のステルス爆撃機が領空侵犯し、スクランブル発進した空自の戦闘機が相手側から亡命を求める通信を受けるところから始まる。ステルス爆撃機は羽田空港…

第八の探偵

アレックス・パヴェージの第八の探偵(原題 Eight Detectives)を読んだ。原題の意味するところは八人の探偵なのに日本語のタイトルが第八の探偵になっているのは、アメリカ版のタイトルが"The Eighth Detective"になっているのに倣っためなのだろうか。この小…

黒牢城

米澤穂信氏の黒牢城を読んだ。天正6(1578)年10月、荒木村重は有岡城に籠城し、突如、信長に対して反旗を翻した。黒田孝高(官兵衛)は村重を翻意させるために有岡城に乗り込んだが、成功せず、城から追い払われることもなく、あるいは殺されることもなく、土牢…

薔薇のなかの蛇

恩田陸氏の薔薇のなかの蛇を読んだ。舞台はイギリスで、ケルトの遺跡のある地方での出来事が最初の「序章」で語られる。その遺跡の祭壇に切断された人体が置かれていたのだ。どう考えてもこれは殺人事件だろう。第一章では場所が変わって、納屋を改造した音…

古代日本の官僚-天皇に仕えた怠惰な面々

虎尾達哉氏の古代日本の官僚-天皇に仕えた怠惰な面々を読んだ。タイトルの通り、古代から中世の日本の朝廷には実は怠惰な官人が多くいたという内容なのだが、それにもまして、実は第一章の「律令官人とは何か」が面白かった。 陰位 まず第一に、今まで、朝廷…

ライフ・アフター・ライフ

ケイト・アトキンソンのライフ・アフター・ライフ(原題 Life After Life)を読んだ。あらすじをちらりと見たら、ループ物と書かれていたので、SFなのかと思い読んだのだが、SFではなかった。主人公はアーシュラ・トッド。彼女は1910年2月に生まれたのだが、生…

幕末江戸と外国人

吉崎雅規氏の幕末江戸と外国人を読んだ。江戸時代にいつ頃から外国人が住んでいたのかに関しては正直なところよく知らなかった。安政五(1858)年六月十九日日米修好通商条約が結ばれるが、この条約の第一条に、 合衆国の大統領は江戸に居留するヂプロマチーキ…

統計の歴史

オリヴィエ・レイの統計の歴史(原題 Quand le monde s'est fait nombre)を読んだ。日本語のタイトルは統計の歴史となっているが、フランス語の原題は「世界が数になったら」という意味で、こちらの方が内容をよく表していると思う。というのも、統計に関して…

三体III 死神永生

劉慈欣氏の三体III 死神永生を読んだ。三体シリーズの最終巻だが、2巻目の最後があのような形で終わって、一体どいう展開になるのだろうと思って読み始めたのだが、最初に「時の外の過去」の部分があって、これも何かの仕掛けなのだろうと読み、その次がいき…

生命はデジタルでできている 情報から見た新しい生命像

田口善弘氏の生命はデジタルでできているを読んだ。本書はゲノムを情報処理装置に見立て、解説をしたものだ。 セントラルドクマ セントラルドクマとは基本原理とか中心教義として日本語に訳され、その意味するところはDNA→RNA→タンパクという順に情報が伝達…

中世ヨーロッパ ファクトとフィクション

ウィンストン・ブラックの中世ヨーロッパ ファクトとフィクション(原題 The Middle Ages: Facts and Fictions)を読んだ。この本が指摘するように、確かに「中世暗黒時代」というイメージは自分も持っていた。教会の権力が強大で何もかも支配して、一般民衆は…

麻薬と人間 100年の物語

ヨハン・ハリの麻薬と人間 100年の物語(原題 Chasing the Scream: The First and Last Days of the War on Drugs)を読んだ。この本に書かれていることは自分がなんとなく麻薬について理解していたことと全く違っていて、読み終わってもちょっと頭の整理がつ…

法の雨

下村敦史氏の法の雨を読んだ。検察が起訴した事件の有罪率は99.7%だ。しかし、高等検察庁の検事の大神は同じ判事から3度無罪を言い渡された。その裁判官は年間15件もの無罪判決を言い渡していて、無罪病判事と揶揄されていた。そして、更に次の担当の二審裁…

へんぶつ侍、江戸を走る

亀泉きょう氏のへんぶつ侍、江戸を走る。本作の主人公は明楽久兵衛で、将軍様の駕籠担ぎである御駕籠之者組に属する御家人なのだが、今でいうところのアイドルオタクで、深川芸者の愛乃に入れ込んでいる。なので組中の同輩からは変物と呼ばれている。今日も…

「違和感」の日本史

本郷和人先生の「違和感」の日本史を読んだ。本書は産経新聞に連載中の日本史ナナメ読みをまとめたもの。これを読んでいると、本郷先生色々とストレスが溜まっているのじゃないかと心配してしまうような記述がいくつかあった。それはそれとして、本書の中で…

新 謎解きはディナーのあとで

東川篤哉氏の新 謎解きはディナーのあとでを読んだ。警視庁国立署の刑事宝生麗子は実は巨大複合企業「宝生グループ」のご令嬢という設定の連作ミステリー。風祭モータースの御曹司である風祭警部の許事件解決に励むのだが、いい加減な風祭警部の推理が間違っ…

日本史の賢問愚問

中里裕司氏の日本史の賢問愚問を読んだ。本書は山川出版社の広報誌「歴史と地理」に連載されていた「賢問愚問」をまとめたものだ。 承平・天慶の乱 私が子供の頃は承平・天慶の乱と教わった記憶がかすかにあるのだが、最近はそのようには呼ばないで、天慶の…

アウターQ 弱小Webマガジンの事件簿

澤村伊智氏のアウターQ 弱小Webマガジンの事件簿を読んだ。本書はWebマガジンの駆け出しライターの湾沢陸男が取材中に出くわした事件に関するミステリーだ。短編集で「笑う露死獣」、「歌うハンバーガー」、「飛ぶストーカーとアイドル」、「目覚める死者た…