2024-07-01から1ヶ月間の記事一覧
米澤穂信氏の冬期限定ボンボンショコラ事件を読んだ。「小市民シリーズ」の最終巻で、今回は12月22日に小鳩常悟朗が巻き込まれた自動車事故の謎に挑むことになる。その日小鳩は小山内ゆきと伊奈波川の横を通っている堤防道路を歩いていて、ひき逃げ事故にあ…
ナンシー・フレイザーの資本主義は私たちをなぜ幸せにしないのか (原題 CANNIBAL CAPITALISM)を読んだ。著者は資本主義を共食い資本主義と名づけている。資本主義そのものがそれは他者を食い物にしてしか成り立たたないからだ。食い物にすると言うのは具体的…
坂崎かおる氏の嘘つき姫を読んだ。「嘘」と「百合」が全体を通しての共通したテーマのような感じがするが、必ずしもすべての作品がそれにぴったり当てはまるわけではない。それとSF的な作品もある。収録されているのは、「ニューヨークの魔女」、「ファーサ…
長崎尚志氏の人狩人を読んだ。本のタイトルが本の内容の核心部分を表しているが、神奈川県に戦後から人狩りをしている連中がいたという架空の話がストーリーのメインの部分を占めている。物語は黒川という男の復讐の話、神奈川県警の桃井小百合巡査部長の話…
福田千鶴氏の城割の作法: 一国一城への道程を読んだ。城割という言葉にはなじみがなかったが、この本のタイトルから多分城を破却することだろうという想像は付いた。著者によると城を壊す作法には「破るわる」と「捨るたたむ・畳むたたむ」の違いがあり、そ…
逢坂冬馬氏の歌われなかった海賊へを読んだ。メインの部分は第二次世界大戦末期のドイツが舞台の小説だが、最初と最後に現在のパートがあって、サンドイッチのように現在が過去を挟み込んでいるような構成になっている。過去のパートは現代に生きている偏屈…
ダニエル・シモンズ、クリストファー・チャブリスの全員“カモ”: 「ズルい人」がはびこるこの世界で、まっとうな思考を身につける方法 (原題 NOBODY'S FOOL We Get Taken In and When We Can Do about It)を読んだ。どんな人でも騙される。では、なぜ騙される…
米澤穂信氏の巴里マカロンの謎を読んだ。これも小市民シリーズの一作のはずだが、今回はタイトルに季節が入っていない。多分番外編といった感じなのだろうか。本書には「巴里マカロンの謎」、「紐育チーズケーキの謎」、「伯林あげぱんの謎」、「花府シュー…
エリー・ウィリアムズの「嘘つきのための辞書」(原題 The Liar's Dictionary)を読んだ。このれはんとも言えない不思議な物語だった。ロンドンが舞台の小説なのだが、現在のパートと19世紀のパートが交互に挟みこまれて物語は進んでいく。二つの物語は同じス…