2023-09-01から1ヶ月間の記事一覧
渡辺優氏の私雨邸の殺人に関する各人の視点を読んだ。クローズドサーキット物で、土砂崩れで隔絶された山荘で起きる殺人事件のミステリーだ。ミステリー同好会の大学生が事件に巻き込まれて、謎解きに乗り出すというような、典型的な舞台設定のミステリーに…
鵺野莉紗氏の君の教室が永遠の眠りにつくまでを読んだ。本作は第42回横溝正史ミステリ&ホラー大賞の優秀賞受賞作だ。この作品も特殊設定の作品で、どのような特殊設定かを書いてしまうとネタバラシになるので書けない。舞台は北海道の不思子町で、そこに暮ら…
石田夏穂氏の我が友、スミス を読んだ。スミスとは何ぞやというと、筋トレマシーンのようだ。バーベルの左右にレールがついているので、その軌道でしか動かなく、安全にトレーニングできるという。多分持ち上げられなくなったときに、ふらつかないことがメリ…
恩田陸氏の鈍色幻視行を読んだ。事故・事件により2度の映画化が頓挫し、その後の2度の映像化も問題が発生して、製作途中でお蔵入りしたいわくつきの小説「夜果つるところ」の関係者がクルーズ船に乗り、横浜からベトナムまでを往復する旅に出る。その旅に関…
八鍬友広氏の読み書きの日本史を読んだ。本書は読み書きの実践がどのように行われてきたのかという事を解説した本である。文字の成立から、文字がどのように教えられてきたのかという事を明治時代までの時間軸で概説している。 寺子屋という名称 江戸時代の…
平谷美樹氏の虎と十字架 南部藩虎騒動を読んだ。まさにタイトルの通り「虎」と「十字架」の物語だった。慶長十二(1607)年南部利直は駿府の家康に拝謁し二匹の虎を下賜された。そのうちの一頭が寛永二(1625)年冬に死んだ。この時この小説にあるように虎が籠か…
岩井圭也氏の最後の鑑定人を読んだ。本書は民間の法科学鑑定会社を営む土門誠を主人公にしたミステリーだ。土門誠は警視庁の科捜研にいたがある事件の鑑定をきっかけに警視庁を辞め、土門鑑定事務所を立ち上げた。刑事・民事を問わず中立的な立場で科学鑑定…
月村了衛氏の十三夜の焔を読んだ。天明から天保へかけて50年以上の時間スケールで活写する時代小説。天保四(1784)年五月の十三夜の夜に幣原喬十郎は匕首を手にした男と側に倒れる男女を見た。倒れている男女は血に塗れていて、見るからに殺されたと思われた…
望月諒子氏の野火の夜を読んだ。血の付着した旧型の五千円札があちらこちらから出てきた。ただ血が付着しただけの五千円札だけなら、犯罪の匂いがするが、それだけで罪には問えないだろう。しかし枚数が増えてきて、総額200万円となり、番号もそろっていると…