隠居日録

隠居日録

2016年(世にいう平成28年)、発作的に会社を辞め、隠居生活に入る。日々を読書と散歩に費やす

2023-10-01から1ヶ月間の記事一覧

木曜組曲

恩田陸氏の木曜組曲を読んだ。耽美派小説の大家重松時子は木曜日が好きだと言っていた。その時子は2月の第二週の木曜日に亡くなり、それ以来毎年その木曜日を挟んで3日間、時子をしのぶために時子が住んでいたうぐいす館に集う女たち。時子の異母姉妹の静子…

本の背骨が最後に残る

斜線堂有紀氏の本の背骨が最後に残るを読んだ。本書は異形コレクションに掲載された短編を集めた短編集だ。私は異形コレクションを読んだことがないのだが、ホラーとか幻想小説のアンソロジーだと理解している。なので、本書もそういう作風の短編が収録され…

夜果つるところ

恩田陸氏の夜果つるところを読んだ。鈍色幻視行の中で言及されている小説で、飯合梓が書いたことになっているが、流石に本当の外側のカバーは恩田陸著、集英社刊になっているが、中を見ると、飯合梓著、照隅社刊になっている。ジャンル分けがよくわからない…

付き添うひと

岩井圭也氏の付き添うひとを読んだ。タイトルの付き添うひと(付添人)とは何かというと、犯罪を犯した少年が家庭裁判所で審判を受けるときに、少年の権利を擁護・代弁し、手続きや処遇の決定が適正に行われるように裁判所に協力する人で、通常は弁護士がなる…

思考実験 科学が生まれるとき

榛葉豊氏の思考実験 科学が生まれるときを読んだ。本書の前半で思考実験とはどのようなものかを説明しているのだが、科学者はなぜ神を信じるのか コペルニクスからホーキングまで - 隠居日録に関する別な観点・著者からの言及もあった。キリスト教には「自然…

最後の語り部

ドナ・バーバ・ヒグエラの最後の語り部 (原題 THE LAST CUENTISTA)と呼んだ。原題にあるcuentistaという単語には全くなじみがなかったので、調べてみたら、スペイン語で「語り部」という意味だった。この小説の主人公ペトラはニューメキシコ州に住む13歳の少…

南海トラフ地震の真実

小沢慧一氏の南海トラフ地震の真実を読んだ。この本の内容はかなり衝撃的だ。中日新聞や東京新聞に記事として書かれていたらしいのだが、全く見た記憶がない。忘れてしまったのかとも思ったのだが、自分のはてなブックマークを探しても、ブックマークしてい…

霜月記

砂原浩太朗氏の霜月記を読んだ。本作は架空の藩神山を舞台にした時代小説だ。主人公は弱冠十八歳の青年草壁総次郎。物語はその総次郎が遊里にある賢木という料亭を訪ねるところから始まる。実はこの料亭の離れに隠居した総次郎の祖父が5年前から住んでいるの…

中世イングランドの日常生活: 生活必需品から食事、医療、仕事、治安まで

トニ・マウントの中世イングランドの日常生活: 生活必需品から食事、医療、仕事、治安まで (原題 How to Survive in Medieval England) を読んだ。本書はタイムトラベルが可能になり、中世のイングランドに行ったときに不便にならないようにするためのガイド…