砂原浩太朗氏の浅草寺子屋よろず暦を読んだ。本書はタイトルにあるように浅草寺内の正顕院に間借りして寺子屋を開いている大滝信吾が主人公の時代小説だ。浅草一帯を縄張りとする狸穴の閑右衛門とかかわりを持ってしまい、あれやこれやと嫌がらせを信吾の周りの人にされるようになり問うような物語だった。ストーリーがそれほど暗くならないのはこの作者だからだろうか。
物語の最後には、閑右衛門一家と大立ち回りでもあるかと思ったが、その様にはならず、何となく盛り上がりに欠けるように感じた。今までの本と比べるとちょっと物足りなさを感じた。