隠居日録

隠居日録

2016年(世にいう平成28年)、発作的に会社を辞め、隠居生活に入る。日々を読書と散歩に費やす

E=mc2のからくり エネルギーと質量はなぜ「等しい」のか

山田克哉氏のE=mc2のからくり エネルギーと質量はなぜ「等しい」のかを読んだ。E=mc2はあまりにも有名な式であるけれど、アインシュタインはいったいこの式をどのように導き出したのかは以前から不思議に思っていて、この式だけではなく、どのような発想で相対性理論を構築したのだろうと疑問に思っていた。本書は少なくともE=mc2に関してはどのように導き出されたのかが説明されているのではないかと読んだのだが、果たしてこの本に書かれている説明でいいのだろうか?という疑問が頭の中に渦巻いている。その説明は250ページほどある本書の180ページから説明されるのだが、その説明があまりにも納得がいかず、その後の解説がちっとも頭に残らなかった。3章、4章はそれなりに興味深く本書の解説を読んでいたのだが、まさか5章でそのような説明があるとは思わなかった。

その説明はこの式にある値の単位に注目している。質量mの単位はKg、光速度の単位はm/s、なので、mc2の単位はKg・(m/s)2となり、これを変形すると、kg・(m/s2)・mとなる。つまり、質量・加速度・距離となり、質量・加速度は力なので、これは力・距離となり、これは正にエネルギーに等しいという説明なのだ。このあと、相対論的運動エネルギーの説明も出てくるが、エネルギーはmc2であるとしているので、なぜ2つを掛け合わせるとエネルギーになるのかの説明はこのあともうないのだ。

確かに、単位の観点からは2つの積がエネルギーに等しくなるのだが、そこには何らかの定数をかけ合わせる必要はないのだろうか?その定数が、1となるのならば、なぜ1となるかの説明はどういうものなのだろうか?結局本書を読んでも到底理解できなかった。