中屋敷均氏の遺伝子とは何か? 現代生命科学の新たな謎を読んだ。
黄金虫変奏曲を読んでから、DNAの4つの塩基の暗号がどのように解読されたのかが気になっていたので、本書を手に取ってみた。本書では遺伝子という切り口で生命科学の歴史を振り返っている。
DNAの4つの塩基の暗号解読の経緯は以下のようなものだった。
1952年にザメクニックらはラットの細胞を粉砕し、遠心分離器にかけ、リボゾームを含む成分にRNAを加えると、試験管内でタンパク質が合成できることを発見した。つまり細胞から取り出したリボゾームに必要なものを加えると、タンパク質が合成できるということを発見したのだ。
1961年米国立衛生研究所(NIH)のマーシャル・ニーレンバーグはザメクニックの実験に関して興味を持っていて、それを改良した。彼はとヨハネス・マッシーはウラシル(U)だけがつながったポリUと呼ばれるRNAをリボゾームに加えた。そうするとフェルニアラニンがすごい勢いでリボゾームに取り込まれることを発見した。つまり、ポリUがタンパク質合成の鋳型となるmRNAとして働き、リボゾームでフェルニアラニンをつなげてタンパク質にしていることが分かったのだ。これにより、UUUはフェルニアラニンに対応することが分かった。同様にAAAはリジンに対応し、CCCはプロリンに対応することも分かった。この結果のうちポリUの結果のみ8月にモスクワで開かれた国際生化学会議発表された。この後世界中で残りの暗号を探す競争が始まったが、ニーレンバーグのグループは64個中54個を解読した。