隠居日録

隠居日録

2016年(世にいう平成28年)、発作的に会社を辞め、隠居生活に入る。日々を読書と散歩に費やす

2018-01-01から1年間の記事一覧

植物は〈知性〉をもっている 20の感覚で思考する生命システム

ステファノ・マンクーゾ、アレッサンドラ・ヴィオラ、 マイケル・ポーランの植物は〈知性〉をもっている 20の感覚で思考する生命システム(原題 Sensibilità e intelligenza del mondo vegetale)を読んだ。本書は植物には知性があるということを色々な例示を…

秋月電子にNanoPi NEO NAS kitを買いに行くも、買えず

はてなアンテナで、秋月電子の「NanoPiNEO/NEO2用NASケースキット」のページをずーとチェックしていたら、昨日更新のメールが来て、どうやら在庫は入ったようだった。 昨日も本日も雨で天気が悪いのだが、天気予報では土曜の午後には雨が上…

満願

米澤穂信氏の満願を読んだ。この本も読もうと思っていたのだが、すっかり忘れていた。先日NHKでこの小説をドラマ化したものが放送されていて、これはドラマを見るよりも先に本を読んでおくべきだなと思い読み始めた。米澤氏といえば日常の謎のミステリーとい…

蒲公英草紙―常野物語

恩田陸氏の蒲公英草紙―常野物語を読んだ。この作品は光の帝国 常野物語 - 隠居日録につながる物語の一冊で、この小説も読もうと思っていたのだが、一年以上も間が空いてしまっていた。物語は二十世紀初頭の宮城県の南部、山を越えればすぐ福島というある地方…

GOSICK GREEN

桜庭一樹氏のGOSICK GREENを読んだ。グレイウルフ探偵社シリーズ第四弾。2013年から年末に毎年刊行されていたのだが、昨年の2017年には出版されなかった。一時休止なのか、暫く休止なのかわわからない。今回の時間軸は前作のPINKの翌日になっている。今回の…

GOSICK PINK

桜庭一樹氏のGOSICK PINKを読んだ。GOSICKの新大陸グレイウルフ探偵社編第三弾だが、時系列はBLUEの翌日になっている。GOSICK BLUEの事件での翌日、一弥はヴィクトリカと連れ立ってニューヨークの町に出た。第一の目的は仕事探し、それから住居探し。だが、…

GOSICK BLUE

桜庭一樹氏のGOSICK BLUEを読んだ。GOSICKの新大陸グレイウルフ探偵社編第二弾だが、実は時系列が巻戻ってREDより前の話となる。ヴィクトリカと久城一弥は正に移民船で旧大陸から新大陸に向かい、まさにニューヨークに到着したところだった。なぜ彼らが旧大…

GOSICK RED

桜庭 一樹氏のGOSICK REDを読んだ。GOSICKの後に色がついてるシリーズはRED、BULE、PINK、GREENと4冊出ていて、このシリーズでの時代設定は1931年で、ヴィクトリカと久城一弥はニューヨークに移り住んでいる。ヴィクトリカはグレイウルフ探偵社の探偵を、一…

2018年夏休み子ども科学電話相談の後半戦に合わせて質問まとめサイトがNHK内に現れる

今年のNHKは子ども科学相談に力が入っているようで、NHK自らがまとめサイトの作成に乗り出したようだ。http://www.nhk.or.jp/radiosp/kodomoqmagazine/www.nhk.or.jpしかも夏の後半戦(23日から31日)は毎日新されるようだ。ただ、質問・回答の一覧は以下のペ…

月の満ち欠け

佐藤正午氏の 月の満ち欠けを読んだ。東北新幹線のはやぶさで八戸から上京した小山内堅が午前十一時から午後一時頃までの間に東京駅で見聞きした出来事と、過去の出来事とを交互に描くことで、一件ありえない不思議な話に現実味を与えるそんな小説だ。小山内…

赤毛のアンのマシュウの死因がショック死だったことにショックを受ける

今更ながらYoutubeのマクガイヤーゼミの高畑勲追悼会「追悼高畑勲 勲の犯した罪と罰」を見ていたら、www.youtube.com

藤原道長の日常生活

倉本一宏先生の 藤原道長の日常生活を読んだ。本書は狙いは、藤原道長の「御堂関白記」、藤原実資の「小右記」、藤原行成の「権記」の日記の内容をもとに藤原道長の実像に迫るというものである。倉本先生は「一般に平安時代の貴族たち対する理解というのは、…

図書館島

ソフィア・サマターの図書館島(原題 Stranger in Olondria)を読んだ。タイトルに「図書館」とか「図書室」とあると、なんとなく読んでみたくなる。この本もそんな一冊なのだが、「日本語のタイトルの図書館島というのはこの本のタイトルにはあまりふさわしく…

無線LAN死亡

先週の木曜日(8月9日)の夕方に気が付いたらiPhone 6Sと無線LANの接続が切れていた。ほかの無線LANを使う端末を見てもやはり接続が切れているので、何らかの理由で動作不良になったのだろうと思い、電源を入り切りをしていると、再び動作し始めた。やれやれ…

蜜蜂

マヤ・ルンデの蜜蜂 (原題 Bienes Historie 蜜蜂の歴史)を読んだ。この物語は三つの家族の物語で、三つの異なった時間軸を三つの異なった語り手が物語を進めていく。第一の視点は2098年の四川省に住むタオという女性。彼女の住む世界ではすでに蜜蜂が絶滅し…

あなたを支配し、社会を破壊する、AI・ビッグデータの罠

キャシー・オニールのあなたを支配し、社会を破壊する、AI・ビッグデータの罠 (原題 Weapon of Math Destruction)を読んだ。本書の著者キャシー・オニールは異色の経歴の持ち主だ。彼女は数学者であり、大学で数学を専攻して博士号を取得し、コロンビア大学…

NHKブログに夏休み子ども科学電話相談のテキスト書き起こしが掲載されていた (2018年夏前半)

今年の夏もNHKラジオ第一で「夏休み子ども科学電話相談」を放送している。そして、なぜか、今年はNHKのラジオブログでテキストの書き起こしが掲載されている。今なら聞き逃しサービスで音声を聞くこともできる。http://www.nhk.or.jp/radio-blog/pr/r1/30290…

修道女フィデルマの探求

ピーター・トレメインの修道女フィデルマの探求を読んだ。本書はの主人公のフィデルマは修道女であり、アイルランド5王国のひとつモアン国の王位継承予定者の妹であり、法廷弁護士(ドーリィー)でもある。しかも、場合によっては裁判官として判決を下すことも…

コルヌトピア

津久井五月氏の コルヌトピアを読んだ。本作は2017年の第五回ハヤカワSFコンテスト大賞受賞作である。西暦2049年東京都心南部で直下型地震が発生し、荒川両岸と環状八号線沿いの建物が焼失・倒壊し、三万五千人の人々が亡くなった。その災害復興の過程で、被…

エピゲノムと生命

太田邦史氏のエピゲノムと生命を読んだ。DNAが組み合わさることにより、我々を構成する細胞の遺伝情報を記録しているが、DNAの情報は変わらないのに、細胞の性質が変化し、その変化が記録・継承されるという現象がある。これをエピジェネティクスを呼んでい…

平安朝 皇位継承の闇

倉本一宏先生の 平安朝 皇位継承の闇を読んだ。歴史上暴虐・狂気の天皇として記録されている歴代の天皇が何人かいるが、なぜそのような伝説が残っているのを考察した一冊だ。本書のタイトルに平安朝と書かれているが、まず序章で扱われているのは武烈天皇だ…

グリフォンズ・ガーデン

早瀬耕氏のグリフォンズ・ガーデンを読んだ。プラネタリウムの外側 - 隠居日録が面白かったので、デビュー作のこちらも読んでみたのだが、こちらも何とも言えない不思議な小説になっている。こちらではIDA-10がバイオコンピューターとして登場していて、プラ…

司馬遼太郎が描かなかった幕末 松陰、龍馬、晋作の実像

一坂太郎氏の司馬遼太郎が描かなかった幕末 松陰、龍馬、晋作の実像を読んだ。実は私は司馬遼太郎の小説を読んだことがない。子供の頃は歴史小説とか時代小説に興味がなかったのと、ある程度年を取ってからは、読書に割ける時間が限られてしまって、長い小説…

世界の終わりの天文台

リリー・ブルックス=ダルトンの世界の終わりの天文台 (原題 Good Morning, Midnight)を読んだ。この小説はカナダの北極圏にあるバーボー天文台のオーガスティン・ロフタスの物語と人類初の木星有人探査船アイテルの搭乗員のサリー・サリバンの物語が交互に語…

歴史は実験できるのか――自然実験が解き明かす人類史

歴史は実験できるのか――自然実験が解き明かす人類史(原題 Natural Experiments of History)を読んだ。タイトルの前半だけを見て、「そりゃ、歴史の実験というのは不可能だろう。いったいどういう内容が書かれているのだろう?」と思った。しかし、本書には副…

戦国大名の兵粮事情

久保健一郎氏の 戦国大名の兵粮事情を読んだ。戦国合戦の舞台裏 - 隠居日録を読んだのだが、わかったようなわからないようなもやもやした感じになっていたので、別な本を読んでみたのだ。今回の本は兵糧が中心になっているので、知りたいことがズバリと書か…

不便ですてきな江戸の町

永井義男氏の不便ですてきな江戸の町を読んだ。永井氏は作家・江戸風俗研究家で、本書は小説の体裁をとっているが、どちらかというと江戸の生活・風俗を紹介・解説することが主軸だと思う。物語の主人公は出版社勤務の島辺国広と大学を定年退職し古文書解読…

嘘の木

フランシス・ハーディングの嘘の木(原題 The Lie Tree)を読んだ。訳者あとがきによると、本書はイギリスで出版されて、現地の児童文学賞の候補になったり、児童文学賞を受賞したりしているということなので、児童文学の範疇に入るのだろうが、単純な児童文学…

もういちど読む 山川 日本史史料

もういちど読む 山川日本史史料を読んだ。本書は山川出版の詳説日本史に掲載されている史料のうち48点を選んで解説している。史料は現代語訳されており、解説も付いているので読みやすいのだが、原文もぜひ載せてほしかった。 大化の改新の詔 日本史のツボ -…

戦国合戦の舞台裏

盛本昌広氏の戦国合戦の舞台裏を読んだ。後方支援とか兵站が戦国時代どの様であったのだろうかという興味から本書を読んだのだが、本書のカバーしている範囲が意外と広く、後方支援とか兵站に関しては触れていることは触れているのだが、知りたいと思ってい…