隠居日録

隠居日録

2016年(世にいう平成28年)、発作的に会社を辞め、隠居生活に入る。日々を読書と散歩に費やす

九月と七月の姉妹

デイジー・ジョンソンの九月と七月の姉妹(原題 Sisters)を読んだ。姉は9月に生まれたのでセプテンバーと呼ばれ、妹は10か月後の7月に生まれたのでジュライと呼ばれた。姉は我が強く、妹を支配して、従属させていた。妹は内気で、姉の支配を受け入れていた。しかし二人は強いきずなで結ばれていた。物語は姉妹と母親がオックスフォードからノース・ヨーク・ムーアズの海岸に建つ古い家に引っ越してきたところから始まる。オックスフォードで何かがあって引っ越してきたのだが、その何かはおいおい物語の中で明らかにされる。

この物語は全体的に異様な雰囲気がしていて、ちょっと不気味な感じがした。殆どが妹のジュライの視点で語られるのだが、どうも彼女は信頼のおけない語り手のようで、そのせいで何かが隠されているという感じは最初からしていた。オックスフォードで起きたことが重要なのだろうというのは想像できたし、多分そうではないかと予想していた通りだったのだが、190ページの2段落目を読んで、「あぁ、そこまでは想像していなかった」と言わざるを得なかった。これはホラー小説ではないけれど、その部分を読んだとき、ちょっとゾクリときた。

文中でセプテンバーが妹のことをジュライ虫と呼んでいる箇所がいくつもあるのだが、英語では何と書かれていたのだろう?