隠居日録

隠居日録

2016年(世にいう平成28年)、発作的に会社を辞め、隠居生活に入る。日々を読書と散歩に費やす

地雷グリコ

青崎有吾氏の地雷グリコを読んだ。このタイトルからはどんな内容化想像するのはちょっと難しいと思う。女子高生の射守矢いもりや真兎まとは見た目は脱力系・無気力系なのだが、滅法ゲームに強い。そのゲームも単純に運が作用するようなゲームではなく、確実に勝ちに結びつく戦略がある。その戦略を巧みに用い、時にはいかさまや、ルールぎりぎりをつきながら、相手をうまいこと誘導しながら、自分の勝をもぎ取っていく。

この本は短編・中編集で、収録作は「地雷グリコ」、「坊主衰弱」、「自由律じゃんけん」、「だるまさんがかぞえた」、「フォールーム・ポーカー」の5編とおまけの「エピローグ」だ。エピローグではゲームの戦いはなく、何となくまだ話は続いていくという感じで終わっている。ただ、続巻が出るかどうかはわからない。

内容を説明するとあまり面白みがなくなりそうなので書きにくいが、一話目の「地雷グリコ」は子どもの遊びのグリコ・チョコレート・パイナップル(正式に何と呼ばれているかはよくわからない)で、じゃんけんで勝つとグーはグリコの3歩、パーはパイナップルの6歩、チョキはチョコレートの6歩進むというゲームで、今回は階段を使って速く46段進んだ方が勝ちになる。ただし、階段のどこかに地雷を設定できて、それを相手が踏むと、10段下がるペナルティが課されるというようにルールがちょっと変わっている。この地雷が曲者で、どこにどのように仕掛けるかで大きく勝敗に影響が出てくる。

あまり内容を書くとネタバレになるのだが、どのようにして相手を攻略して勝ったかということを各ストーリーの最後の所で、戦略・駆け引きを含めて書かれているので、その種明かしの部分を楽しむ小説だと思う。