隠居日録

隠居日録

2016年(世にいう平成28年)、発作的に会社を辞め、隠居生活に入る。日々を読書と散歩に費やす

2017年にNHK BSプレミアムで黒澤明映画が急に放送された

2017年年末に黒澤映画再放送 (2017年11月1日追記)

2017年の3月と4月に黒澤映画がNHKBSプレミアムで放送されたが、そのうちのほとんどが2017年12月に再放送されるようだ。スケジュールは以下の通り。

2017年12月18日 13:00 わが青春に悔なし

2017年12月31日 09:33 年越し映画マラソン 七人の侍

2017年12月31日 13:02 年越し映画マラソン 生きる

2017年12月31日 15:28 年越し映画マラソン 用心棒

2017年12月31日 17:21 年越し映画マラソン 椿三十郎

2017年12月31日 19:00 年越し映画マラソン 赤ひげ

前回の放送で見たので、今回は多分見ないだろうな。

9月には羅生門が放送される(2017年8月1日追記)。

羅生門 デジタル完全版」BSプレミアム9月21日(木)午後1時00分〜2時30分

 2017年3月と4月に黒澤映画がNHK BSプレミアムで放送されるようだ(2017年3月)

だいたい月初めにNHKのwebでプレミアムシネマの予定をチェックしているのだが、今月の初めに見たときにはなかったはずの黒澤明映画が複数放送されることになっている。

 

隠し砦の三悪人BSプレミアム 3月23日(木)午後2:55〜5:15

七人の侍BSプレミアム 3月28日(火)午前1:15〜4:43

「生きる」BSプレミアム 3月29日(水)午前0:50〜3:14

「天国と地獄」BSプレミアム 3月30日(木)午前0:45〜3:10

「用心棒」BSプレミアム 3月30日(木)午前9:00〜10:52

「赤ひげ」BSプレミアム 3月31日(金)午前0:45〜3:51

椿三十郎BSプレミアム 3月31日(金)午前9:00〜10:37

 

4月には原節子特集の一環で、わが青春に悔いなしが放送される。

「わが青春に悔なし」BSプレミアム4月17日(月)午後1:00〜2:52

 

一日に2本放送する日もあるようだ。もう何度も見ている映画だけれど、またみよう。

 

 

本人に訊く〈壱〉よろしく懐旧篇

椎名誠氏・目黒孝二氏の本人に訊く〈壱〉よろしく懐旧篇を読んだ。1995年前後だったと思うが、私はしきりに椎名氏の本を読んでいた記憶がある。気が付くともう20年以上昔の話だ。当時読んでいた本を含む大半の本は10年ちょっと前に、溜まり続ける書籍の山に絶望的になり、9割がた処分してしまったので、実際どんな本を読んでいたかは、記憶の中にしかないのだが、わしら怪しい探検隊シリーズとか本の雑誌血風録、発作的座談会、哀愁の町に霧が降るのだ、新橋烏森口青春篇、銀座のカラスとかだと思う。

椎名氏を中心にいい年をした大人がくだらないことをまじめにやっているのが面白くて、そんな仲間に囲まれているのがうらやましく思っていて読んでいた記憶がある。

本書は椎名誠氏の全著作を盟友目黒孝二氏が読み、著者本人の椎名誠氏にインタビューをしたものをまとめた本であるが、年の所為なのか、もともとなのか、著者本人が往々にして「忘れた」と回答する、いかにもな対談集だ。椎名誠氏に興味がない人多分手に取らないと思うが、いかにもな二人の味が出ている面白い対談になっている。時には本について一切触れない場合もある。

面白かったところをいくつか挙げると、「さらば国分寺書店のオババ」の項で椎名誠氏がサトウハチローの詩を暗誦するのだが、その詩が実際には見つからなかったり、椎名誠氏がこどもの時に見た嵐寛寿朗の鞍馬天狗の話をするところの脚注にある「やるときはやるんだよ」という切りかえしはいかにもという感じだ。

また、「風にころがる映画もあった」で

目黒 いや、これはなかなか面白かった。

椎名 本当かよ。はやく言えよ。

という応酬も、この二人ならではという感じだ。「風景進化論」で椎名誠氏が「電車に乗ると、どのやつが悪い奴で、そいつをぶん殴ろうと探していた」という話をしていて、

目黒 それは異常だよ絶対。誰か殴るやつはいないかって探すわけだろ。そういうのがなくなったのは何歳(笑)。

椎名 電車に乗らなくなりました。

という返しも絶妙だ。「発作的座談会」の中で紹介される以下のエピソードも秀逸だ。

目黒 増刷に次ぐ増刷で、本当にいい時代だったよ(笑)。そのころ神保町の書店に新刊を買いに行ったら、よその版元の営業マンらしき人がこの『発作的座談会』を指して書店員に聞いている現場に遭遇したことがある。これ売れているんですかって。いやすごい売れてますよっていう書店員に、いいなこんなんで売れてって(笑)。一生懸命に作ったまじめな本が売れていないのに、「こんなんで売れて」面白くなかったんだろけど(笑)。

私は「発作的座談会」の内容をもはや全然記憶していないが、くだらなくて面白かったということだけはよく覚えている。「私広告」では、本の雑誌社の資金繰りのために、一冊でっちあげる必要があり出版した経緯について触れた後、中身について語りだし、本の真ん中にある「本書の主な登場人物」というページを誰が書いたかわからないという話になる。

目黒 「[桃子]弥生三月になると十二単で浪漫房に現れる雅な人。春は濁り酒がよろしいおすう」こんなやつ、いるわけないだろう。

椎名 おれかなあ。

目黒 絶対におれじゃないよ。だっておれ「石垣島のトラジのおやじ」って知らないもの。

目黒 あっ、じゃあおれだ。

目黒 陸津悠も椎名ね?

椎名 私がやりました(笑)。

大爆笑という感じではないが、読んでいて「ニヤリ」とする本になっている。この内容はもともと「椎名誠旅する文学館」のwebサイトに掲載されたものを書籍化したもので、現在もまだ継続しているようだ。そのうち<弐>が出版されるだろう。