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隠居日録

2016年(世にいう平成28年)、発作的に会社を辞め、隠居生活に入る。日々を読書と散歩に費やす

いちいち“他人”に振り回されない心のつくり方

読書

中島美鈴氏のいちいち“他人”に振り回されない心のつくり方を読んだ。私は隠居の身で、社会とはある種隔絶していて、他人に振舞わされるということはないのだが、「認知行動療法」というものにちょっと興味を覚えたので読んでみた。

本書では「同じ出来事なのに受け取る人によって感じ方が違っている」というところから説明が始まる。例えば、「髪がきれいですね」と言われた時に、「どうもありがとうございます」と素直に受け取る人、「この人何か私に頼みことがあるのだろうか」と身構える人、「ほかに褒めるところがないので、気を使って髪を褒めてくれたんだ」と受け取る人。これらの受け取り方の違いは、考え方に個人差(クセ)があるため、その結果味わう感情にも違いがあると説明する。この考え方のクセをちょっと変えれば、その考え方に巻き込まれず、受け取り方も変わり、つらく感じずにすむ。代表的な考え方のクセとして、

  • 一般化のし過ぎ。一つの失敗やいやな出来事だけを根拠に「いつも~だ」「すべて~ない」のように、「一事が万事」式に考える。
  • 自分への関連付け。よくないことが起きたときに、自分に関係ないことまで、自分の所為だと考える。
  • 根拠がない推論。はっきりした証拠がないのに結論を急ぎ、否定的にあれこれ考える。
  • 全か無か思考。物事を白か黒かで考える。どちらかわからない中間を認めず、完全主義の傾向。
  • すべき思考。必ず「~すべき」「~しなければいけない」といった思考。
  • 過大評価と過小評価。自分の欠点や失敗を実際よりも過大に考え、長所や成功を過小に考える。

 これらに関して筆者は考え方の修正方法を提案していく。ここまでは一章。しかし、二章では「信念」が登場する。信念は考え方や行動原理の元となるもので、幼少期から思春期にかけて経験する、重要な他者との関係の中で形成される。ある種「三つ子の魂100までも」的なものなのではないだろうか?自分に当てはめてみれば、他人を信用できないとか、人に頼みごとをするのが億劫だということがあり、これも子供のころの経験によってそうなったという自覚はある。

三章ではこの信念を書き換えるための「行動実験」について説明する。要するに、いつもと違った行動パターンを、もしうまくいかなくても、あまりダメージがない状況で少しずつ試していってみることを提案しているのだ。そして、今までの信念に基づかない行動をしても大丈夫だという積み重ねをすることで、信念を少しづつ修正していこうと提案している。本書の中では二章と三章が面白かった。

四章では人間関係の改善法を、五章では自尊感情のはぐくみ方を解説している。