町田そのこ氏の月とアマリリスを読んだ。2月26日(水)2025年のベスト1 町田そのこ『月とアマリリス』 - 帰ってきた炎の営業日誌|WEB本の雑誌に「なにせあの町田そのこが、ミステリを書いたのだ」と書かれていて興味を持った。以前読んだのは宙ご飯で、ミステリを書くような作家とは思っていなかったからだ。読みながら思ったのは、広義の意味ではミステリだが、謎解き小説ではないということだ。主人公は元雑誌記者で、ある事件を調べていて、とてつもない人間関係の暗部に迷い込むというストーリなのだ。ただし、彼女は調査するが、特に理詰めで推理するわけではない。この手の小説で難しいのは、いかにして事件の核心に近づいていくかだろう。小説なのであまり無駄なことは書けない。適度なページ数で物語が動いていくには、どうしても犬も歩けば棒に当たる的にならざるを得ない。そこだけを見てしまうと、ご都合主義の羅列になってしまって、どうしてこんなに都合よく核心に結びつくのかという疑問が湧いてしまう。
物語のプロローグでは男と女二人が誰かの老婆の死体を遺棄している場面がえがかれていて、元雑誌記者の飯塚みちるがひょんなことからその死体遺棄事件を調査することになる。彼女は東京の雑誌社で働いていたが、ある記事の失敗から故郷の北九州市に逃げ帰り、地方のタウン誌のライターをしていた。元カレでもある雑誌社の元上司から地元で発生した死体遺棄事件の取材するように依頼されて、いやいやながら調査を開始した。そして、ひょんなことから老婆と思わる女性の住んでいるアパートがわかり、訪ねていくと別な若い女性の遺体を発見してしまう。
本書は明かされる事件は男女のドロドロした愛憎で、どうしようもない男の犯罪に巻き込まれた二人の女性の悲劇だ。あまりこういう内容は好みではない。たが、帰ってきた炎の営業日誌 > 2月26日(水)の「「町田そのこ」とは何かといえば」にかって目黒孝二氏が行った町田その子分析が書かれていて、まさにそこに書いてある通りだった。本作とも通じるテーマがあり、重い作品のような気もするが、ちょっと52ヘルツのクジラたちにも興味が湧いた。
月とア
マリリス 町田そのこ
368ページ
2025/2/27