隠居日録

隠居日録

2016年(世にいう平成28年)、発作的に会社を辞め、隠居生活に入る。日々を読書と散歩に費やす

Numbers Don't Lie 世界のリアルは「数字」でつかめ!

バーツラフ・シュミル のNumbers Don't Lie 世界のリアルは「数字」でつかめ!(原題 Numbers Don't Lie 71 Things You Need to Know About the World)を読んだ。表紙の折り返しの所に「信頼できる数字とデーターで驚くべき事実を明らかにする。」と書かれているので、統計的なデータを検証・考察して、そこから読み取れる真実に関して説明するのだと思って読み始めた。確かに第1章、第2章ぐらいまではそんな感じで考察しているのだが、後半になるにつれて、特に第5章エネルギー、第6章移動、第7章機械になってくるとただ人類に関する歴史の話をそれぞれの項目から述べているというような感じになってきて、どこかで読んだような話が続いて、面白くなくなってきた。

前半は割と興味深いことが並んでいる。「乳児死亡率(1000出生数辺りの1年未満の死亡数)」が生活の質を表すのに適している指数であるとか、アメリカ・ロシアは6で(2015から2020年)で、先進国の中では高めであることなど。著者は経済格差を理由に挙げているが、それに加えてアメリカの保険制度も影響していると思う。

ギザのピラミッドを何人で作ったのかをはじき出すのに石材を積み上げるのに必要なエネルギーと人が労働として投入したエネルギーから計算しているところも面白い。ピラミッドの建設に用いられた石材の位置エネルギーを計算し(2.4兆ジュール)、人間は食べ物から摂取したエネルギーの20%を有効な労働に変換できることから、10時間の労働をするとして1日当たり44万ジュールとはじき出し、(クフ王の統治期間から)20年ぐらいの期間で作ったとすれば、約900人ぐらい必要になる。