隠居日録

隠居日録

2016年(世にいう平成28年)、発作的に会社を辞め、隠居生活に入る。日々を読書と散歩に費やす

絶対に面白い化学入門 世界史は化学でできている

左巻健男氏の絶対に面白い化学入門 世界史は化学でできているを読んだ。

タイトルに「化学入門」とついているが、入門書というよりは人類の歴史の中での化学的な発見とかその成果のエピソード集といった感じの本だ。すでに知っていることもあったが、知らないことも当然あった。

ちょっと驚いたのはコロンブスのエピソードだ。なんとなくコロンブスが目指していたのはインドで、地中は丸いから西回りに航海してもたどり着けるだろうという考えのもと出港したのだと思っていたのだが、コロンブスマルコポーロの「世界の記述(東方見聞録)」のジパングの記述にことさら執心していたようで、黄金を求めてジパングを目指していたというのだ。これは知らなかった。なので、コロンブスはことさらに黄金に固執していたらしい。

それと、清教徒革命(ピューリタン革命)の原因がタバコの専売と課税であるとしているが、これ一つが原因だとは思われないので、このエピソードはちょっと盛り過ぎだと思う。

また、P239に

すべての動物の肉を塩漬けにして保存したが、日がたつにつれて腐るため、腐敗臭がするし、味もおかしくなる。

しかし、生きていくためには、春までその肉をためなければならない。そのため、強力な防腐剤や匂い消しとして、香辛料がどうしても必要だった。

ここでも、腐敗肉食の話が出てくるが、中世ヨーロッパ ファクトとフィクションにもある通り、腐った肉を常に食べていたとは思えないし、仮に食べたとしても、下痢や腹痛を起こし、そうまでして腐敗した肉を食べ続けるとはとてもではないが思えない。干し肉というのがいつからあったのかはわからないが、香辛料より塩の方がよほど手に入りやすいとも思う。