隠居日録

隠居日録

2016年(世にいう平成28年)、発作的に会社を辞め、隠居生活に入る。日々を読書と散歩に費やす

幽玄F

佐藤究氏の幽玄Fを読んだ。今までの作品とは全然テイストが違う作品だった。前作のテスカトリポカの血腥い小説から比べると爽やかな小説だ。この小説は三島由紀夫豊饒の海に触発されて書かれたという事なのだが、私は豊饒の海だけでなく、一切の三島由紀夫の小説を読んでいないので、どのようなつながりがあるか全くわからない。そのような前提ではあったが、本書を読んでみての率直な感想は、本書を読み込むには私にはやはり無理があったと思う。作者が何を描こうとしているのか今一つよくわからなかった。

易永透という名前の飛行機好きの少年が、成長して、ジェット戦闘機に魅せられ、自衛隊入隊しF35に登場することになる。身体能力と空中での空間認識能力のおかげで、三沢基地では一目置かれる存在になるのだが、あることがきっかけで自衛隊を除隊してしまう。それは飛行中に突然呼吸困難に陥る症状に襲われたせいなのだが、身体的な病気ではない。除隊後アジアを漂流するような生活が始まる。

wikipediaに「豊饒の海」のペジーをあらすじの手前まで読んでみたが、やはり本作とのつながりはよくわからなかった。これはひとえに私の問題だ。