隠居日録

隠居日録

2016年(世にいう平成28年)、発作的に会社を辞め、隠居生活に入る。日々を読書と散歩に費やす

ヴィオラ母さん 私を育てた破天荒な母・リョウコ

ヤマザキマリ氏のヴィオラ母さん 私を育てた破天荒な母・リョウコを読んだ。ヤマザキマリという名前はテルマエロマエの原作者というとこで知っていたが、詳しいことはよく知らなかった。それが、新型コロナのパンデミック以降、日本から出国できなくなり、そのせいかどうかわからないが、テレビやラジオで本人を見聞きする機会が格段に増えた。イタリアに住んでいるのだし、テルマエロマエを描いたので、ローマ時代のことに詳しいのは想像がつくが、昆虫が好きだということは全く知らなかった。そして、ちょくちょくエピソードに登場するのが、彼女の母親だ。本のタイトルに「破天荒」とあり、「大胆で型破り」という意味で使われているのだと想像する。しかし、この言葉は「誰もなしえなかったことを初めて行う」という意味で、こちらの意味でとらえても本書は間違いではないと思った。

この本を読むと、リョウコの父も母も音楽には造詣があったようだが、よもやそれを職業にしようとは彼らは考えなかった。しかし、リョウコはある時それを職業としようと思い立ち、札幌に結成されたばかりの交響楽団に半ば家出するように飛び込んでいったのだという。まさに、誰もなしえなかったことだ。そして、その地で男性と巡り合いマリ氏が生まれるわけだが、その男性とは死別する。その後結婚した男性との間にも子供が生まれるも、離婚し、二人の子を持つシングルマザーとなる。そして、楽団も継続し、ヴァイオリンなどの音楽教師としても活躍したようだ。

色々面白いエピソードが載っているが、菊男さんとリョウコと祖母の三千絵さんのエピソードはちょっと驚く。それと祖母の三千絵さんも結構ぶっ飛んだ人のようなのも面白かった。