隠居日録

隠居日録

2016年(世にいう平成28年)、発作的に会社を辞め、隠居生活に入る。日々を読書と散歩に費やす

GOSICK GREEN

桜庭一樹氏のGOSICK GREENを読んだ。グレイウルフ探偵社シリーズ第四弾。2013年から年末に毎年刊行されていたのだが、昨年の2017年には出版されなかった。一時休止なのか、暫く休止なのかわわからない。

今回の時間軸は前作のPINKの翌日になっている。今回のメインの舞台はセントラルパーク、そしてグレイウルフ探偵社への依頼は2つ。一つは、ニューヨーク市役所地域管理課緑地係のケリー・スーが持ち込んできた「失われたセントラルパークの本当の地図を探す」こと。19年前に始まった都市美運動によりセントラルパークを近代的なデザインにつくり直そうと思ったら、市役所には正確な地図がなかった。当時の市役所の委員が設計家の所に行ったら、都市美運動により自分が設計した色々な建物壊されていることに立腹した建築家は意地悪をして渡してくれなかった。もう一つの依頼は刑務所から脱走したKIDを捕まえてほしいという依頼だ。KIDは40年前KID&ダルタニアン・ブラーザーズとしてニューヨーク連邦準備銀行に強盗に入り、失敗して捕まった。その際、銃撃戦になり、仲間三人は銃撃されて死亡、KIDは裁判で禁固150年の刑を受けて収監されていた。そのKIDが看守を殴り倒して脱獄し、再び連邦準備銀行を襲撃するというのだ。

今回はこの二つの事件を軸に物語がテンポよく展開されていく。そして、エピローグではあのヴィクトリカの兄のクレヴィールが登場し、どうやらニューヨークにやってきそうなところで終わっているのだが、上にも書いたように昨年末はこのシリーズが刊行されなかったので、このままグレイウルフ探偵社シリーズは四冊で終わってしまうのか、それとも続くが出るのか。続くが出るのなら、REDの続編なのか?GREENの続編なのか?

今回のGREENを象徴しているのはお札の色のグリーンだと思うのだが、冒頭で引用されているのはシェークスピアの夏の世の夢で、それと緑の関係がやっぱりぴんと来なかった。

GOSICK PINK

桜庭一樹氏のGOSICK PINKを読んだ。GOSICKの新大陸グレイウルフ探偵社編第三弾だが、時系列はBLUEの翌日になっている。

GOSICK BLUEの事件での翌日、一弥はヴィクトリカと連れ立ってニューヨークの町に出た。第一の目的は仕事探し、それから住居探し。だが、あっという間に彼らはニューヨークの町中ではぐれてしまい、一弥はヴィクトリカを探して街をさまようことに。一方、ヴィクトリカはマンホールにはまってしまい身動きが取れないとれない状況になってしまう。一弥は迷子探しの広告を新聞に出そうとデイリーロード社を訪れたのだが、なぜだかいつの間にか、記者見習い試験を受けることになってしまっていた。そして、一方のヴィクトリカは、マンホールから何とか抜け出しただが、いつのまにか団子を無銭飲食したとこで、留置場に入ることになってしまう。だが、これはほんの今回の事件の導入部で、このトラブルの仮定で知り合った人たちから謎の解明を頼まれたのだ。今回の謎は過去に起きた事件だ。先の世界大戦中に起きたクリスマス休戦殺人事件の謎を解くことになるヴィクトリカ。そして、それがグレイウルフ探偵社の最初の事件だった。

今回は冒頭でオズの魔法使いが引用されているが、これとピンクの関連性が例によってわからなかった。何かあるのだろうか?タイトルにピンクがあるので、ストーリーの中にはピンク色の物がちりばめられている。だが、それとオズの魔法使いの案山子と何か関係があるのだろうか?タイトルにある色に込められている意味と、冒頭で引用されている文章の関連性が今回もわからなかった。

今回のストリーで一弥の仕事が見つかり、住むところも決まったので、ニューヨークでの暮らしのスタートが何とかできるようになったというところだろうが、到着わずか二日でというのはちょっと早すぎだろう。