隠居日録

隠居日録

2016年(世にいう平成28年)、発作的に会社を辞め、隠居生活に入る。日々を読書と散歩に費やす

リアクト

法条遥氏のリアクトを読んだ。本作はリライトリビジョンに次ぐ3作目である。本作で一条保彦が園田保彦になる部分が描かれると思っていたのだが、それは誤りで、もう一度リライトの世界を再構築する物語となっている。

本作では新たにホタルという未来からやって来たタイムパトロールの少女が登場する。彼女は園田保彦の作り出したタイムリープの謎に迫るために、保彦を追っている。そして、もう一人は坂口穂足。彼女の兄である清は、千秋霞と結婚することになる。その点では、リビジョンで起きていた未来が一部回避されていることになる。

一作目のリライトの作者は実は雨宮友恵であることが明かされる。これは坂口穂足を通じて千秋霞が見た世界を可能足らしめるために、雨宮友恵が作り出した解釈なのだが、執筆時点では保彦は転校してきておらず、そのようなことが本当に起きるとは思っていなかった。しかし、実際に保彦が転校してきて、友恵はリライトの通りのことが起こることを知ってしまう。だがしかし、100%その通りになぞってしまうと、再びパラドックスに落ちってしまうことになる。友恵・ホタル・穂足は協力しつつ、何とか最悪の事態を回避しようとするのだった。

今回で終わりなのか、まだ続くのかは不明だが(少年の一条保彦が未来にタイムリープするような感じのことは書かれているが、この部分は明確になっていない)、一条保彦は物語の中でリライトを読んでしまったことになっているので、後年読むことになる「時を翔ける少女」と矛盾が生じるのではないかと、危惧している。