隠居日録

隠居日録

2016年(世にいう平成28年)、発作的に会社を辞め、隠居生活に入る。日々を読書と散歩に費やす

ケレスの龍

椎名誠氏のケレスの龍を読んだ。本人に訊く〈壱〉よろしく懐旧篇を読んだら、椎名氏の小説も久しぶりに読んでみたくなり、読書予定リストの中にあったケレスの龍を手にとってみのだ。

本作は、武装島田倉庫につながる世界の話で、いわゆる「北政府もの」で、半島での北南戦争後の物語となっている。元傭兵の灰汁銀次郎とカンパチのSF活劇だ。半反岬にある役場から金をせしめた二人は、その近くにある「ケープパラダイスセンター」という遊興施設で、変な依頼を受ける。脂玉工場の社長の孫娘が誘拐されたので、救出してほしいというのだ。その救出劇に合流したのが、ケープパラダイスセンターに隣接する通称すりばちホールと呼ばれているボイラー施設で働く2人組、ダラと策三だ。4人は協力して孫娘を奪還するが、誘拐犯の3人組(実際にはドロイド)はまんまと、空にロケットで逃げて行ってしまったのだ。そして次なる依頼は、その逃げたドロイドを生け捕りにしてほしいというもの。ボイラー施設で働くスケルトンも合流し、5人はロケットを追って、宇宙空間に乗り出していくのだった。

タイトルになっているケレスは小惑星帯にある天体である。そして、このケレスの龍は物語の最後の最後で登場するので、ケレスの龍はいつになったら明らかになるのだろうと読み進めていた。最後の所があまりにも駆け足で終わってしまい、結果だけが提示されているだけで、ちょっと物足りなさを感じてしまった。