隠居日録

隠居日録

2016年(世にいう平成28年)、発作的に会社を辞め、隠居生活に入る。日々を読書と散歩に費やす

殺した夫が帰ってきました

桜井美奈氏の殺した夫が帰ってきましたを読んだ。これはまさにタイトル通りの導入から始まる物語だ。鈴倉茉奈は取引先の男からストーカのような付きまといにあい、その男は住んでいるアパートまで押しかけてきた。そこに割って入ってきたのが、殺したはずの夫の和希だった。崖から突き落として殺したはずなのに。

この小説はSFでもなく、魔法が出てくるわけではない。なので、この状況がなぜ発生したのかを物語として完結させなければならないが、見事にそれを成し遂げている。これ以上言及するとネタバレになるので、書けない。もっとミステリー寄りの作品かと思った読み出したのだが、どうやら違うような気がする。amazonでこの著者の他の作品を調べてみたが、ミステリーを書いている作家ではないようなので、作者がミステリーを志向して書いたのかどうかは分からない。