隠居日録

隠居日録

2016年(世にいう平成28年)、発作的に会社を辞め、隠居生活に入る。日々を読書と散歩に費やす

Babel II 魔法大国からの断罪

古宮九時氏のBabel II 魔法大国からの断罪を読んだ。前巻の終わりでどこかわからない場所に転移してしまった雫とエリクだったが、彼らが辿り着いたのは大陸のほぼ西側で、大陸の東の方から目的地のファルサス王国を飛び越えてしまった。ファルサス自体は大陸の西側に位置しているので、その移動は全くの無駄になったわけではなく、改めて目的地のファイルサスを目指して旅に出る二人なのだった。

今までなんとなく読んでいてモヤモヤしていた、この世界の言語との違いが明らかになるのがこの巻の一番重要で、興味深い所。同じ言葉を話していて、意思疎通はそれなりにできているようなのだが、日本語の文法の奇妙な点を指摘するエリクに違和感があったのだが、根本的に言語の理解の仕方が違うのだろうと今のところ想像している。ストーリーも日本語で書かれているが、彼らが本当に日本語で会話しているのも疑問に思えてきた。

それとこの世界の文明の度合いもちょっと気になっている。書物が数百年前からあるようだし、時計もそれなりにあるようなので、そんなに低いレベルではないと思うが、科学と魔法を比べると魔法の方が主のようだ。大陸と大陸がどれくらい離れているかは書かれていないが、移動しているようなので、それなりの造船技術もあると思われる。作者がどこまで想定しているのかはちょっと不明だ。

さて、せっかく苦労してファルサス王国に辿り着いたが、新たに判明したこともあるにはあるが、この国には雫が元の世界に戻るための手掛かりがないことが分かり、次の手掛かりを求めて旅立とうとしている矢先、雫はまたしてもとんでもないことに巻き込まれるところで、本巻は終わっている。