隠居日録

隠居日録

2016年(世にいう平成28年)、発作的に会社を辞め、隠居生活に入る。日々を読書と散歩に費やす

英語の階級 執事は「上流の英語」を話すのか?

新井潤美氏の英語の階級 執事は「上流の英語」を話すのか?を読んだ。イギリス英語は落とし穴だらけ - 隠居日録を読んだときにも感じたが、イギリス英語はややこしい、というかめんどくさいと改めて感じた。階級により、使う単語、言い回し、アクセントが違うのだから、ややっこしいのだが、それよりも何よりも、まず、それぞれのクラスについて、明確に定義してもらいたかった。アッパークラス、ミドルクラス、ローワークラス、ワーキングクラスと言っても、なんとなくイメージはあるが、明確にどのような人がどこに属するのか正確には分からない。アッパークラスに関しては「土地を持ち、その収益によって暮らすことができる人々」と書かれていた。要するに昔の貴族階級の人たちだろうが、今時土地からの収益だけでは生活は成り立たないと思う。ローワークラスとワーキングクラスはほぼ同じ意味だろうが、これは端的に肉体労働に従事する労働者ととらえていいのだろうか。ミドルクラスはその間に属するとするとかなりの人たちがここに属すると思われるのだが、そういう理解であったいるのかちょっとよくわからない。

初対面の挨拶で、"How do you do?"を言う・言わないという議論をよく目にするが、本書によると、この表現はアッパークラスの表現で、そうだとすると使う人がそもそも限られているという事だろ。だが、ミドルクラス、ローワークラスがどのように言っているのかが本書には書かれていないので、その点は気になるところだ。

本書にアッパークラスと非アッパークラスの使う単語の例が載っているのだが、

UpperNon Upper
false teethdentures入れ歯
table-napkinservietteナプキン
looking-glassmirror
writing-oaoernote-paper便箋
scentperfume香水
ここで不思議なのは非アッパーの使う表現にフランス語が語源のものが多いという点だ。元々イギリスの上流階級はフランスから来た人たちが多くいて、フランス語を話していたのは世界の英語ができるまで - 隠居日録に書かれていたが、いつの間にか上流階級の言葉は英語化し、むしろ下流の言葉にフランス語が多く取り入れられているというのは何とも不思議なことだ。