辻堂ゆめ氏の二重らせんのスイッチを読んだ。これはミステリーに属する小説だが、主人公の桐谷雅樹は犯人で、被害者でもあり、探偵役を担っている。実際には犯人に間違われて、その後に巻き込まれた事件では被害者になり、そしていったい何が起きていたのかを解き明かす探偵役にもなっている。物語は刑事が彼の職場に現れ、警察署への同行を求められた所から始まる。彼への嫌疑は強盗殺人だ。防犯カメラには彼そっくりの男が写っていて、現場に残されていた遺留品のDNAも彼のものと一致した。もちろん雅樹はそんな犯罪にはかかわっていないので、否認し続けるが、非常に不利な状況に追い込まれていく。しかし、彼の事件当日のアリバイが証明されて、処分保留で釈放された。雅樹にとっては明らかに冤罪だったので当然の釈放だが、ではあの防犯カメラに写っていた男は誰なのだろうか。
強盗殺人の犯人は誰で、なぜこんな事件が起こったのかというのがストリーの出だしなのだが、この物語は多くを語るとネタバレになるので、これ以上は書きにくい。ただ、最後の最後まで散りばめられた伏線が回収されていく様を楽しむ小説だと思う。
