隠居日録

隠居日録

2016年(世にいう平成28年)、発作的に会社を辞め、隠居生活に入る。日々を読書と散歩に費やす

マツリカ・マハリタ

相沢沙呼のマツリカ・マハリタを読んだ。こちらはマツリカ・マジョルカ - 隠居日録の続編だ。

本作では柴山祐希は二年生になっているが、マツリカは相変わらず学校に登校している様子もなく、廃ビルに住み着いている。柴山祐希の周りは少しずつ変わってきて、新たに高梨という友人が出来たり、写真を始めたりしだした。

本作には、「落英インフェリア」、「心霊ディテクテブ」、「墜落インビジブル」、「おわかれソリチュード」の四編が収められている。各話に共通してでてくるのが、「一年生のりかこさん」という学校の怪談だ。かってその学校にいた飛び降り自殺した生徒が、学校に未練があるのか、ある特定の年の一年生に紛れ込んでいるというのだ。当然ながら誰もその生徒のことは知らず、いつのまにかその生徒もいなくなってしまうという。最終話においてまた少しマツリカの過去が明かされる。柴山祐希はマツリカは「一年生のりかこさん」に何らかの関係があるのではないかと疑い始めるのだが、肝心のマツリカが廃ビルからいなくなってしまうのだった。

多分このシリーズは「マツリカ・マジョルカ」と「マツリカ・マハリタ」で終わりだと思う。というのも、本シリーズはもともと単行本で出版されており、「マツリカ・マジョルカ」が2012年3月、続巻の「マツリカ・マハリタ」は2013年8月の出版だ。それから4年経過しているので、もう続巻は出ないであろう。結局最後までマツリカがなぜ変な怪談を調べていたり、学校を見張っているのかは明かされないし、なぜ廃ビルに住み着いているのかも結局わからずじまいで終わってしまった。なんか消化不良な感じだ。作者としては、そこは単なる設定で、あまり重視していなかったのかもしれないけれど。
実はこの続編が2017年の8月末に出版されていたことについ最近気づいた。この本を読んだときには見つからなかったのだが……。


マツリカ・マジョルカ

相沢沙呼氏のマツリカ・マジョルカを読んだ。

日常の謎のミステリー。高校一年の柴山祐希はある日、高校の隣にある廃ビルの四階の窓から女子高生が身を乗り出しているのを発見する。自殺なのか?と訝しみながら、その部屋を訪れると、年上と思しき女子高生がいた。切れ長の大きい瞳、長い黒髪。彼女は双眼鏡で、原始人の調査をしていて、夕方になると旧校舎の裏に原始人が現れるという。そして、柴山祐希はその原始人調査に巻き込まれることになる。

その女子高性はマツリカと名乗っているが、それが本当の名前かどうかもわからない。どうやらこの廃ビルに住んでいるようで、学校に登校しているかどうかもよく判らない。そして、なんだか色々な怪談の調査しているようだ。その調査に協力すると、勉強を教えてくれるというので、成績の芳しくない柴山祐希は協力することになるのだが、マツリカをドSキャラとして描かれていて、柴山祐希はそのミステリアスな雰囲気から魔女のようだと形容している。また、マツリカは柴山祐希のことを柴犬呼んでいるありさまだ。一方柴山祐希はなんとなくクラスに溶け込めなずにいて、何かと理由と造ってはマツリカの許を訪れるようになっていった。

本書には四編おさめられていてる。「原始人ラナウェイ」、「幽鬼的テレスコープ」、「いたずらディスカイズ」、「さよならメランコリア」。最後の「さよならメランコリア」で柴山祐希と姉にまつわる謎・秘密が明らかにされ、マツリカの正体もちょこっと明かされるが、その正体は依然として不明のまま終わっている。第一にして、なぜ廃ビルに住み着き学校を見張っているのかが最大の謎だ。本作には続編があり、そちらでその謎が明かされるかもしれない。