隠居日録

隠居日録

2016年(世にいう平成28年)、発作的に会社を辞め、隠居生活に入る。日々を読書と散歩に費やす

medium 霊媒探偵城塚翡翠

相沢沙呼氏のmedium 霊媒探偵城塚翡翠を読んだ。

推理作家の香月史郎は大学時代のサークルの後輩である倉持結花に頼まれて同行した先で霊媒師の城塚翡翠に会った。霊媒師の彼女は、死者の匂いを感じることができるという。結花は町中の占い師に見てもらってから、奇妙な夢を見るようになった。誰かがベッドのそばで泣いているような感じがするというのだ。それで、その占い師を再び訪ねると、霊媒師の城塚を紹介されたという。城塚は話を一通り聞いた後、住んでいる家を見せてほしいといった。それで、後日倉持結花の家を訪れることになり、香月も再びそれに同行することになった。ところが、訪問日の当日、結花は待ち合わせの場所にはやってこず、なんとか結花のマンションの部屋にたどり着くと、結花は床に倒れており、頭から血が流れていて、死んでいた。城塚は「犯人は女の人です」という。しかし、それは霊媒の力で得た結論で、何の証拠もない。香月はどうやって犯人をみんなを納得させられる形で指摘できるのだろうか?

本書は連作短編で、「泣き女の殺人」、「水鏡荘の殺人」、「女子高生連続考察事件」、「VSエリミネーター」の4編とエピローグが収められている。それとは別にインタールードという第四話に繋がる挿話が3篇各ストーリーの間に挟まっている。霊媒の力のみによって事件が解決するわけではないので、こういうみミステリーもありだと思って読んでいったのだが、それは最後のところでがらりと印象が変わった。本書の仕掛けを詳しく語るとネタバレになってしまうので、全然書けないが、「VSエリミネーター」が本ミステリーの肝で、その部分は予想外だったので、いい意味で裏切られた感じ。今までの著者とは違う傾向のミステリーだと思う。