隠居日録

隠居日録

2016年(世にいう平成28年)、発作的に会社を辞め、隠居生活に入る。日々を読書と散歩に費やす

図書館の魔女 烏の伝言

高田大介氏の図書館の魔女 烏の伝言を読んだ。本書も厚く、658ページもある大ボリュームだ。ただ、本作は上下巻ではなく、本巻のみ。

前作の図書館の魔女の終わりの所は次に続く物語のプロローグ的な感じになっていたので、その続きの話なのだろうかとも思ったが、本作は前作から1~2年後という設定になっている。前作で、一の谷・ニザマ皇帝・アルデッシュの電撃的な三国同盟が成立し、ニザマ国内は皇帝と宦官勢力の争いが始まったところで終わっていたが、それから時間が経ってもニザマ国内の混乱はまだ終わっていなかった。ニザマ国内の混乱が収まらないために、官吏高官は家族係累を国外の逃すために、何とかつてを頼って、策をめぐらしていたのだった。ニザマ中原南部の地方官吏の姫ユシャパ一行も国外に難を逃れるようとしていた。ユシャッバ、それを警護する近衛兵、そして山を越えるために雇い入れた剛力たち。彼ら一行が目指しているのは西大陸のニザマの属国クヴァンにある港湾都市クヴァングワンである。そこにいったん身を落ち着け、そこから海路で更に安全なところに落ち延びる手はずだったのだが、クヴァングワンは陰謀が渦巻き、誰が見方で、誰が敵なのかもわからないような、怪しい場所と化していた。

図書館の魔女の物語であることには間違いはないのだが、今回は図書館の魔女は500ページを過ぎるまで、全く登場しない。しかも、本作で起こっていた事件とは全く関係ない用事のために港湾都市クヴァングワンを訪れいたのだ。だが、例によって、色々な話の断片から推理により、物語にちりばめられていた謎を解き明かしていく。本作では、マツリカ、ハルカゼと図書館付きの旧近衛兵だけが登場しており、キリヒトはまだ戻っていないようだ。キリンも登場していない。前作の続きの物語は、書かれるのだろうか?