隠居日録

隠居日録

2016年(世にいう平成28年)、発作的に会社を辞め、隠居生活に入る。日々を読書と散歩に費やす

いやでも物理が面白くなる〈新版〉

志村史夫氏のいやでも物理が面白くなる〈新版〉を読んだ。本書は身近に存在する物理のテーマを光、電気、力・エネルギー、原子、時間・空間(相対性理論)の各テーマに沿って分類し、なぜそうなっているのかを分かりやすく解説している入門書である。

本書のサブタイトルにもなっている「なぜ『止まれ』の信号はなぜ世界共通で赤なのか?」というタイトルに惹かれて読んでみた。その理由は可視光の中で赤が散乱の影響を受けにくく、目に届きやすいのが波長の長い赤だからだというのだ。そもそも、この視えるという現象自体は非常に興味深い。我々が色を感じているのは、見ているものがそのような色であるというよりも、我々の眼に対象物からそのような光が入ってくるからだ。端的な例が青空であろう。別に空に青い色がついているわけではなくて、空気はあくまでも透明だ。その理由は本書でも説明されているが、太陽からの光は地球の大気に到達したときに、大気中の粒子により様々な方向に散乱させられる。そして、この散乱の度合いは光の波長に依存し、波長が短い青い光がより散乱させられるのだ。そのため、地面から空を見た時には散乱している青い波長が見えているということになる。

また、なぜ朝・夕の太陽は赤く見えるのか?これは昼と比べて例えば朝の太陽の光はより長く大気中を通過して目に届くので、より散乱の効果を受けることになる。その結果目に届くときにはほとんど赤い光しか到達しないというのだ。

大気を通過する太陽光
大気を通過する太陽光