隠居日録

隠居日録

2016年(世にいう平成28年)、発作的に会社を辞め、隠居生活に入る。日々を読書と散歩に費やす

2022-07-01から1ヶ月間の記事一覧

白の闇

ジョゼ・サラマーゴの白の闇(原題 ENSAIO OBRE A CEGUEIRA)を読んだ。それは何の前触れもなく突然始まった。だいたいの人は前触れがあってもそれに気づかず、何かが突然起こったと思うのだが、この場合は本当に何の前触れもなかった。ある時車を運転していて…

スピルオーバー――ウイルスはなぜ動物からヒトへ飛び移るのか

デビッド・クアメンのスピルオーバー――ウイルスはなぜ動物からヒトへ飛び移るのか (原題 Spillover Animal Infections and the Next Human Pandemic)を読んだ。スピルオーバーとは異種間伝播のことで、異なった種の間でウィルスや細菌が感染することである。…

図説 中世ヨーロッパの商人

菊池雄太(編著)氏の図説 中世ヨーロッパの商人を読んだ。以前会計の世界史 イタリア、イギリス、アメリカ――500年の物語 - 隠居日録を読んだ。この本は会計の歴史ではあるが、ある種経済史でもあり、ヨーロッパの商人の歴史をルネッサンス以降の時代から語っ…

宙ごはん

町田そのこ氏の宙ごはんを読んだ。本作品は北上ラジオの第45回で紹介されていた。家族の正しいかたちを求めて格闘する『宙ごはん』町田そのこ(小学館)を手に取るべし【北上ラジオ#45】 - YouTube主人公はタイトルにある宙そらちゃんという女の子で、この子…

計算する生命

森田真生氏の計算する生命を読んだ。本書は「心」と「身体」と「数学」とを結び合わせて綴られた数学エッセイである。人間にとって数えるという事の起源から語り始め、それから代数に話が広がり、代数と幾何の結びつき(図形の本質が方程式であるという視点)…

対テロ工作員になった私

トレイシー・ワルダーの対テロ工作員になった私「ごく普通の女子学生」がCIAにスカウトされて (原題 THE UNEXPECTED SPY)を読んだ。タイトルにある通り(だが、日本語のタイトルはちょっと誇張し過ぎていると思うが)、教師志望の普通の女子大生がCIAを就職先…