隠居日録

隠居日録

2016年(世にいう平成28年)、発作的に会社を辞め、隠居生活に入る。日々を読書と散歩に費やす

虚構推理 スリーピング・マーダー

城平京氏の虚構推理 スリーピング・マーダーを読んだ。虚構推理シリーズの3作目。

妖怪や化け物から相談を受ける「知恵の神」である岩永琴子と件と人魚を食べたことにより、予知能力と不老不死の力を得た桜川九郎のコンビのミステリー。そう、今回はミステリーだった。本作は一作目の虚構推理の鋼人七瀬事件に続く時間軸のストーリーだと思われ、最初の章の「岩永琴子は高校生である」はプロローグ的に、岩永琴子が高校生の頃ミステリー研究会に所属することになるエピソードをえがき、続く第二章の「六花ふたたび」で、今や岩永琴子の宿敵となった桜川六花が出てきたので、「今回は琴子vs六花なのか?」と思いきや、その後六花は登場せず、今回は第四章と第五章のスリーピングマーダーのところがメインのストーリーだった。

23年前妖狐の力を借りて妻を殺害した音無剛一は自分の余命が長くないことを知り、自分が妻を殺したことを子供たちに認めさせたいと岩永琴子に相談したことから始まる推理合戦が今回のストーリー。妖狐に殺害を依頼したことを告げても信じてもらえないのは明白で、それをどのようにして虚構を組み立てて妻の殺害を子供たちに納得させるか。だが、これは虚構推理。単純にそれらしい殺害のストリーを提示するだけでは終わらない。