隠居日録

隠居日録

2016年(世にいう平成28年)、発作的に会社を辞め、隠居生活に入る。日々を読書と散歩に費やす

2019-05-01から1ヶ月間の記事一覧

超動く家にて 宮内悠介短編集

宮内悠介氏の超動く家にて 宮内悠介短編集を読んだ。これは単行本未収録作品の短編集で「トランジスタ技術の圧縮」、「文学部のこと」、「アニマとエーファ」、「今日泥棒」、「エターナル・レガシー」、「超動く家にて」、「夜間飛行」、「弥生の鯨」、「法…

隣のずこずこ

柿村将彦氏の隣のずこずこを読んだ。この本で語られている物語は民話のようだ。何の前触れもなく不思議なことが起こり、何の説明もなく物語は終息を迎え終わっていく。そこには何の教訓じみたこともない。怪異は怪異であり、それだけだ。舞台は関西地方のど…

映画術 その演出はなぜ心をつかむのか

塩田明彦監督の映画術 その演出はなぜ心をつかむのかを読んだ。本書は2012年に映画美術学校アクターズ・コースの学生向けに行われた講義を文書化して一冊にまとめたものだ。あとがきを読むと、塩田監督は当初「映画の演出」について講義しようと思っていたの…

平城京のごみ図鑑

平城京のごみ図鑑を読んだ。タイトルを見て、「おや?」と思って読み始めたのだが、今までにない視点が得られた。本のタイトルにある通り、この本で解説されているのは奈良時代の平城京についてである。 遺物の大量発掘はゴミ捨て場から 地面の下から過去の…

本と鍵の季節

米澤穂信氏の本と鍵の季節を読んだ。本作は、八王子にある高校の図書委員が主人公の日常のミステリーで、短編集になっている。収録されている各短編のタイトルは「913」(暗号)、「ロックオン」、「金曜日に彼は何をしたのか」(アリバイ)、「ない本」、「昔話…

文化戦争 - やわらかいプロパガンダがあなたを支配する -

ネイトー・トンプソンの文化戦争 - やわらかいプロパガンダがあなたを支配する - (原題 Culture As Weapon)を読んだ。本書は文化を用いた大衆掌握・操作に関してのレポートなのだが、扱っている範囲が広い分、掘り下げ度が若干浅く感じた。本書が主にアメリ…

カッコーの歌

フランシス・ハーディングのカッコーの歌(原題 Cuckoo Song)を読んだ。嘘の木 - 隠居日録が面白かったので、こちらの作品も読んでみたのだが、巻末の解説によると、カッコーの歌の方が本国では先に出版されていたということだ。主人公は十一歳の少女トリス(…

数字を一つ思い浮かべろ

ジョン ヴァードンの数字を一つ思い浮かべろ (原題 Think of a number)を読んだ。退職した刑事デイブ・バーニーのもとに大学時代の同級生であるマーク・メレリーから不可解な謎が持ち込まれた。「1000までの数字を一つ思い浮かべろ」という手紙をメレリーは…