宮内悠介氏の超動く家にて 宮内悠介短編集を読んだ。これは単行本未収録作品の短編集で「トランジスタ技術の圧縮」、「文学部のこと」、「アニマとエーファ」、「今日泥棒」、「エターナル・レガシー」、「超動く家にて」、「夜間飛行」、「弥生の鯨」、「法則」、「ゲーマーズ・ゴースト」、「犬か猫か?」、「スモーク・オン・ザ・ウォーター」、「エラリー・クイーン数」、「かぎ括弧のようなもの」、「クローム再襲撃」、「星間野球」の16編が収録されている。
バカSFの短編集(あとがきより)というくくりになっていて、設定がバカだったり、ストーリーの展開がバカだったりのSFが収められている。ただ、「アニマとエーファ」は空き缶と流木から作られた物語を紡ぐ人形の半生を描く寓話的なSFだし、「スモーク・オン・ザ・ウォーター」はどちらかというと心温まる異星生物との遭遇のSFで他の作品とはちょっと毛色が違うように思う。表題作の「超動く家にて」は最初ミステリーなのかと思って読んでいたら、家は宇宙船でSF的になってきた思っていると、宇宙船では連続殺人が起こって、最後にはわけがわからなくなってしまった。内容はどれも面白いんだけれども、これは読後の評価が分かれると思う。特にSFを読もうとして本書を手に取ったのならば、なんだこれ?となってしまうだろう。