隠居日録

隠居日録

2016年(世にいう平成28年)、発作的に会社を辞め、隠居生活に入る。日々を読書と散歩に費やす

バビロン 3 ―終―

野崎まど氏のバビロン 3 ―終―を読んだ。

今回の舞台はいきなりアメリカになっており、アメリカ大統領アレキサンダー・W・ウッドの視点を中心に語られる。日本の新域に呼応してか、世界の各地で自殺都市宣言する地方自治体が現れ始めた。世界的に自殺は是か非かの議論が巻き起こり、各国首脳も自殺都市宣言した地方自治体に対してどのように対処するかの選択を迫られていたが、アメリカ大統領アレキサンダー・W・ウッドは態度を決めかねていた。

今回のサブタイトルは「終」となっているが、まだまだこのストーリーは終わらない。この巻を読み始めたら、いきなり物語の舞台がアメリカに変わっていたので驚いたが、途中から正崎善もストーリーに加わってくる。そして、あの曲世愛も。そして、今回も曲世愛のせいで多くの犠牲者を出すことになる。この巻において「バビロン」の意味が初めて明かされた(P231)。それはヨハネの黙示録に出てくる大淫婦バビロンであり、そういえば、新域の庁舎に七本の塔のような庭園があるのも、黙示録になぞらえたものであろうし、G7の七か国の首脳と、その七か国の中に七つの自殺都市宣言の地方自治体があるのも、黙示録になぞらえたものだろう。

いずれにしても、この物語はまだ終わらないし、この先どうなるのかも読めない。