隠居日録

2016年(世にいう平成28年)、発作的に会社を辞め、隠居生活に入る。日々を読書と散歩に費やす

キネマ探偵カレイドミステリー ~輪転不変のフォールアウト~

斜線堂有紀氏の「キネマ探偵カレイドミステリー ~輪転不変のフォールアウト~」を読んだ。キネマ探偵シリーズの三冊目。この巻でこのシリーズも終了を迎えたのだと思うがどうなのだろう。続きを書くことは可能だと思うが、いずれにしても、一つの区切りをつけたと思う。今回も探偵役は引きこもりの嗄井戸高久、語りで探偵助手役は奈緒崎と前作と同様。本書には3編収録されており、前作と同様に映画を題材としたミステリーになっていて、映画の薀蓄もふんだんに語られて位る。タイトルと作品は以下の通り。

逆行無効のトライアンプ - バック・トゥ・ザ・フューチャー

依然必然のアクチュアリー - ラブ・アクチュアリー

輪転不変のフォールアウト - 俺たちに明日はない

2作目ははダイイングメッセージ物のミステリーで、私はどうもダイイングメッセージ物というのはいくら作り話とはいえ、非現実的な感じがするので、どうも好きになれなかった。一作目はバック・トゥ・ザ・フューチャーのあのデロリアンの実物大レプリカが短時間のうちに忽然と消えてしまったという謎で、なるほどそういうものがあるのかという感想だ。本作はいたるところにヒッチコックの作品に対する薀蓄もちりばめられていて、ヒッチコック好きの私としては色々楽しめた。そして、今回のストリーは、前作の最後で奈緒崎が偶然見つけた隠されたスナッフビデオが引き金となり、嗄井戸が引きこもりになった原因の事件が全体の大きなテーマとなっており、3作目でその犯人との決着をつけることになる。ミステリーとしてはあまりひねっていないけれど、作者の作品への思いや執筆への姿勢があらわれている作品だと思う。

あとがきで、「これを書いているトキまだ大学卒業が決まっていない」と書かれていて、作者は若い人なのだろうなとは思っていたけれど、まだ20代前半だとは思っていなかったので、ちょっと驚いた。