米澤穂信氏の夏期限定トロピカルパフェ事件を読んだ。小市民シリーズの2作目で、本作では1冊目から半年以上たち、小鳩と小山内は2年生になっていて、夏休み直前というところから物語は始まる。夏休みが始まった初日に小山内は小鳩の家を訪れ、この町にあるお菓子屋さんの地図を渡した。それは「小山内スイーツセレクション・夏」と記された地図であり、小鳩は半ば強引にそれらの店を回るツアーに巻き込まれてしまったのだ。そしてセレクションの第一番目が、この間のタイトルにもなっている夏季限定トロピカルバフェを出すセシリアという店だった。
一冊目と二冊目を読んで、このシリーズのパターンがわかった。タイトルになっているのがメインの事件で、その事件には小山内ゆきが巻き込まれることになる。そのために短い物語を積み重ねて、その事件に導いていくような短編の構成になっている。しかも、一冊目と二冊目を読んだ印象は、「小山内ゆき恐るべし」だった。一冊目で小鳩を狐、小山内を狼と称していて、それほど狼なのだろうかとも思ったのだが、この巻ではまさに狼だった。その詳細は終章の「スイート・メモリー」で明かされる。そして、やはり小鳩も謎を解くことからは離れられないのだった。今回の最後で二人の関係が解消するような印象を与えているが、このシリーズはまだ続いているので、完全には関係解消とはならないだろう。次の巻ではどのような事件が起きるのだろうか。次は「秋」で「栗きんとん」なのでスイーツ大好きの小山内が出てこないわけがない。