隠居日録

隠居日録

2016年(世にいう平成28年)、発作的に会社を辞め、隠居生活に入る。日々を読書と散歩に費やす

あなたへの挑戦状

阿津川辰海氏、斜線堂有紀氏のあなたへの挑戦状を読んだ。二人の作家の競作という事なのだが、どのような競作かというと、ある謎を相手に出題し、その謎を受け取った側はその謎を解明するための推理小説を書くというような競作だ。なので、本書には2編収められていて、それぞれのタイトルは水槽城の殺人とありふれた眠り。

斜線堂氏が出した謎は水槽城という3階建ての円筒で、その一部が水槽のように水が張られている建物で起きた殺人事件。阿津川氏が出したのは、「殺人犯は殺人現場でなぜ寝たのか」という謎。ストーリーとしては後者の方の斜線堂氏が書いた方が面白かった。というのも水槽城というのがちょっと常軌を逸した感じがして、今一つストーリに入り込めなかったのだ。これは書き手が悪いていうよりは出題者が悪いと思う。これが短編ではなく長編だとまた違ったのかもしれないが、ちょっと現実味が感じられなかった。