読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

隠居日録

2016年(世にいう平成28年)、発作的に会社を辞め、隠居生活に入る。日々を読書と散歩に費やす

読書

藤原道長の権力と欲望 - 「御堂関白記」を読む

倉本一宏氏の藤原道長の権力と欲望を読んだ。本書は藤原道長が記した「御堂関白記」を中心に同時代に生きた藤原実資の「小右記」、藤原行成の「権記」を併用して、藤原道長がどのように権力の中枢に上り詰めたかが書かれている。 なぜ、平安貴族は日記を書い…

片桐大三郎とXYZの悲劇

倉知淳氏の片桐大三郎とXYZの悲劇を読んだ。本作は難聴により引退した大物俳優片桐大三郎が名探偵を務めるミステリーだ。4編収録されていて、 ぎゅうぎゅう詰めの殺意。満員電車から降りた男が転倒し、死んでしまった。どうやら満員電車の中で、背後から、ニ…

リアクト

法条遥氏のリアクトを読んだ。本作はリライト、リビジョンに次ぐ3作目である。本作で一条保彦が園田保彦になる部分が描かれると思っていたのだが、それは誤りで、もう一度リライトの世界を再構築する物語となっている。 本作では新たにホタルという未来から…

リビジョン

法条遥氏のリビジョンを読んだ。この作品はリライトの数か月後(1992年の秋)の世界を舞台にしており、園田保彦の誕生を描く物語になっている。 千秋家の女性に代々受け継がれている不思議な手鏡がある。この手鏡を使うと未来を視ることができるのだ。この視る…

リライト

法条遥氏のリライトを読んだ。例外小説 - 隠居日録で見つけたうちの一冊で、これはタイムトラベラー物のSF小説だ。 1992年の夏、中学2年生の美雪は、未来からやって来た保彦と出会う。旧校舎崩壊事故に巻き込まれた彼を救うため、10年後に跳んで携帯電話を持…

例外小説

佐々木敦氏の例外小説を読んだ。本書は著者による小説の書評、文庫解説、作家論についてまとめられた本であり、著者による「例外小説」というものを扱っている。では、例外小説とは何かというと、「これは小説なのか?という疑問・問い・思索を喚起する『小…

美女二万両強奪のからくり (縮尻鏡三郎)

佐藤雅美氏の 美女二万両強奪のからくりを読んだ。本書は縮尻鏡三郎シリーズの一編だが、今回の物語は梶川三郎兵衛が物語を動かしている。 江戸幕府は寛政四(千七百九二)年二月に柳原に町会所・籾蔵を設置させた。これは民営の窮民救済、備荒貯蓄、兼金融機…

犬飼六岐氏の蛻を読んだ。尾張徳川家の下屋敷には戸山荘という庭園があり、その中には東海道の宿場町を再現した町山であったという。物語は享保、八代吉宗の時代に、この戸山荘の宿場町である御町屋に、当時の藩主の宗春がより実際に近い町屋を再現するため…

喪失

モー・ヘイダーの喪失(原題 gone)を読んだ。本書はハヤカワポケットミステリーの一冊で、版型は新書サイズであるが、上下二段組みになっていて、480ページ以上あるので読みごたえがあった。 ストーリはカージャックの発生から始まる。警察は単純なカージャッ…

耳嚢

近世風俗志 - 隠居日録をamazonで検索したときに、「この商品を買った人は...」の所に耳嚢が出ていた。こちらは、上・中・下と三巻出ているようなのだが、amazon.co.jpにも楽天booksにもいまだに新品で在庫されている。出版から25年ぐらい経過しているのに、…

近世風俗志

守貞謾稿という書物がある。なんでこの書物の存在を知ったのか正確には覚えていないが、何かの本で読んだのだと思う。それもほんの2年ぐらい前だったのだから、まだまだ知らないことが多いものだと、嘆息する。 著者の喜田川守貞は幕末の人で、もともとは大…

天皇諡号が語る古代史の真相

関裕二氏監修の天皇諡号が語る古代史の真相を読んだ。本書は新書版なのだが、ページ数が466ページあり、通常の新書の二倍近くはあるので、読む場合はその点を注意する必要があると思う。また、最後まで読んで気づいたのだが、本書は関裕二監修になっていて、…

男嫌いの姉と妹 町医北村宗哲

佐藤雅美氏の男嫌いの姉と妹 町医北村宗哲を読んだ。本巻で北村宗哲シリーズの完結である。あたらに仙台伊達家浪人長井半四郎が登場し、物語に深くかかわっていき、結局は半四郎を中心にして、物語が収束することになる。 江戸の夜の街は長井半四郎の登場に…

大統領の冒険

大統領の冒険を読んだ。本書はキャンディス・ミラードの"The river of doubt"(謎の川)の翻訳であり、第二十六代アメリカ大統領セオドア・ルーズベルトのアマゾンの未開の川の探検記である。 副大統領から、第二十六代アメリカ大統領になったセオドア・ルーズ…

八月の路上に捨てる

伊藤たかみ氏の八月の路上に捨てるを読んだ。以前SmartNewsの読書のタブに以下の記事が配信されていて、それを見て興味を持ったので読んでみた。2006年の芥川賞受賞作ということである。 www.ebookjapan.jp ここに書かれていることは、ある意味衝撃的だった。…

粘膜黙示録

飴村行氏の粘膜黙示録を読んだ。著者はホラー小説でデビューしたということなのだが、その作品は全然読んでおらず、以下のページを見て興味を持ったので、読んでみた。 hon.bunshun.jp 打ち合わせを兼ねての酒席で何気なく派遣工時代の話をしたところ、同席…

口は禍いの門 町医北村宗哲

佐藤雅美氏の「口は禍いの門 町医北村宗哲」を読んだ。本巻では江戸の裏の世界は正に戦国時代に突入している。黒門の喜助は両国広小路の伊右衛門に毒を盛らせて亡き者にした。伊右衛門の後を継いだのが、熊五郎という子分だが、力がなく、縄張りを竜次にとら…

向かい風で飛べ!

乾ルカ氏の向かい風に飛べ!を読んだ。本書は室井さつきと小山内理子が主人公の青春小説だ。物語はさつきが父の都合により札幌から沢北町に引っ越してきた小学五年生から始まる。道の職員として麦の品種改良の研究をしていたさつきの父は、実際に自分でも麦…

やる気のない刺客 町医北村宗哲

佐藤雅美氏のやる気のない刺客 町医北村宗哲を読んだ。シリーズの2作目で、本巻で物語が大きく動き出した。 江戸の主だった顔役は宗哲と縁のある黒門の喜之助、両国広小路の伊右衛門、市ヶ谷八幡前の庄之助、二丁町の安五郎、深川門前中町の辰五郎、本所鐘撞…

武士に「もの言う」百姓たち

渡辺尚志氏の武士に「もの言う」百姓たち 裁判で読む江戸時代を読んだ。本書は第一部と第二部に分かれており、第一部は江戸時代の訴訟全般について解説しており、第二部は信濃松代藩真田家文書に残されていた南長池村での出入筋(民事訴訟)の記録をたどりなが…

たったひとり

乾ルカ氏のたった一人を読んだ。本作はジャンル的にはホラーに属するようだが、ミステリー要素もある小説だ。 帝都大学廃墟探索サークル時旅(ときたび)の5人のメンバーがN県にある打ち捨てられ廃棄になっているラブホテルのホテル・シャトーブランシュを訪れ…

町医 北村宗哲

佐藤雅美氏の町医 北村宗哲を読んだ。本シリーズは今までに4冊出ており、すでに完結している。本シリーズの主人公は北村宗哲という医者で、芝明神前で開業医をしている。宗哲は医者の倅であったが、妾の子であり、本妻に長男がいたため、父が死んだことによ…

ハルさん

藤野恵美氏のハルさんを読んだ。本作は、ちょっと頼りなさそうなビスクドールの人形作家の父親春日部晴彦(通称ハルさん)が娘の風里(通称ふうちゃん)の子育て中に遭遇したちょっと不思議な謎を解く日常のミステリー。その謎を解くのは、もうこの世にはいない…

デカルトの密室

瀬名秀明氏のデカルトの密室を読んだ。SFにカテゴライズされると思うのだが、ミステリー要素も含まれている。が、実際に明確に謎が解決されるわけではない。ストーリーの中にいくつかの謎が示唆されている例えば、第一章の最後でケイイチがフランシーヌをを…

頼みある仲の酒宴かな (縮尻鏡三郎)

佐藤雅美氏の頼みある仲の酒宴かなを読んだ。しくじり御家人こと拝郷鏡三郎シリーズの一編。おなじみの北の臨時廻り梶川三郎兵衛、剣術道場主の鳥羽誠十郎に、今回は丹州浪人柴田帯刀が物語に絡んでくる。 老婆ためは日本橋の白木屋の地面が自分のものだと北…

刀の日本史

加来耕三氏の「刀の日本史」を読んだ。刀と見聞きすると、なんとなく日本刀のことを頭に思い浮かべていたが、本書に記述されているのは日本刀だけではなく、いわゆる剣も範疇に含まれている。そのため、まず神話(古事記・日本書紀)から始まり、古代の刀につ…

惑星カロン

初野晴氏のハルチカシリーズの第五作目、惑星カロンを読んだ。本書には、「チェリーニの祝宴 ―呪いの正体―」、「ヴァルプルギスの夜 -音楽暗号―」、「理由ありの旧校舎 -学園密室?-」、「惑星カロン -人物消失-」の四編が収録されている。今回は、各編…

千年ジュリエット

初野晴氏のハルチカシリーズ4冊目を読んだ。本作では普門館を目指す吹奏楽部の活動はちょっと小休止で、高校二年の秋の文化祭にまつわるストーリ4作が収録されている。 「エデンの谷」(アニメ11話)は草壁信二郎の恩師である山辺富士彦が残したピアノ、ベーゼ…

空想オルガン

初野晴氏の空想オルガンを読んだ。ハルチカシリーズの3作目。本作には「ジャバウォックの鑑札」(アニメ第10話)、「ヴァナキユーラー・モダニズム」(アニメ第4話)、「十の秘密」、「空想オルガン」が収録されている。本書では高校2年生の夏の吹奏楽B部門の東…

初恋ソムリエ

初野晴氏の初恋ソムリエを読んだ。ハルチカシリーズの2作目。本書には「スプリングラフィ」(アニメ第6話)、「周波数は77.4MHz」(アニメ第7話)、「アスモデウスの視線」(アニメ第9話)、「初恋ソムリエ」(アニメ第8話)が収録されている。 「スプリングラフィ」…

退出ゲーム

初野晴氏の吹奏楽部+日常の謎のミステリー。2016年の1-3月期にアニメ化されて、アニメの方を先に見て、興味を持って読んでみた。このブログを書いている時点で、3作目まで読んだが、アニメ化するに当たり、原作から「吹奏楽部」成分と「高校生」成分を若干…

御奉行の頭の火照り (物書き同心居眠り紋蔵)

佐藤雅美氏の物書き同心居眠り紋蔵シリーズのうちの一作、御奉行の頭の火照り。本作では南町奉行所の町奉行である松平伊賀守と主人公の紋蔵との確執を描いている。結局最後には伊賀守は町奉行を更迭されてしまうのだった。 驚いたことは、別シリーズである半…

わけあり師匠事の顛末 (物書き同心居眠り紋蔵)

佐藤雅美氏の物書き同心居眠り紋蔵シリーズの一編「わけあり師匠事の顛末」。このシリーズを最初に読んだのは文庫になっていた本で、多分1998年ころだったと思う。この本はイギリスに旅行に行ったときにロンドン近郊にあるオリエンタルシティーの中にあった…

『罪と罰』を読まない

「『罪と罰』を読まない」を読んだ。本書はドストエフスキーの「罪と罰」を読んだことがない岸本佐和子氏、三浦しをん氏、吉田篤弘氏、吉田浩美氏が断片的に与えられる情報をもとに「罪と罰」の内容を推測していく座談会を書き起こしたものだ。 私も今から15…

哲学探偵

鯨統一郎氏の哲学探偵なのだが、これも随分前(2012年12月)に購入し、最初の一編だけ読んで、放置していたもの。なぜ、すぐに全部読まなかったのか、記憶になかったのだが、今回改めて全編読み返してみて、その理由がわかった。 本作品はユーモア推理に分類さ…

探偵部への挑戦状

東川篤哉氏の鯉ヶ窪学園探偵部シリーズの一冊で、放課後はミステリーとともにの続編。こちらも、霧ヶ峰涼が主人公になっている。こちらも、NHK FMの青春アドベンチャーでドラマ化されていて、そちらを先に聞いていたので、内容はだいたい知っていたが、「霧…

放課後はミステリーとともに

こちらは東川篤哉氏の鯉ヶ窪学園探偵部の別シリーズで、主人公は霧ヶ峰涼だ。NHK FMの青春アドベンチャーで放送されて、何度か聞いていたので、ラジオのストーリーは覚えていると思っていたのだが、いくつか記憶違いをしていた。 石崎先生は最初から探偵部の…

殺意は必ず三度ある

東川篤哉氏の鯉ヶ窪学園探偵部シリーズ第二作目。今回は野球部を舞台にした殺人事件が起こる。まず、鯉ヶ窪学園野球部のベースが盗まれたのが事件の発端となる。その後、野球部のライバル校である飛龍館高校との練習試合の日に、鯉ヶ窪学園野球部監督の他殺…

学ばない探偵たちの学園

東川篤哉氏の「鯉ヶ窪学園探偵部」シリーズの第一作目だ。このシリーズはNHK FMの青春アドベンチャーで「放課後はミステリーとともに」「放課後はミステリーとともに2 探偵部への挑戦」で何とはなくは知っていたが、4部作であることを最新知り、一作目から…

戦国の軍隊

西股総生氏の「戦国の軍隊」を読んだ。氏はもともと城郭を研究していたということだが、敵の攻撃を防ぐための構造物という意味において城郭は軍事的構造物としてとらえているが、戦国時代を軍事的に考察した書物がなかったので、自ら執筆したということだ。…

ペンギンのバタフライ

ペンギンのバタフライを読んだ。この本には、5編収録されているが、初出一覧を見ると「バオバブの夜」と「ふりだしにすすむ」以外は描き下ろしになっているので最初から連作短編を意識して書いたのかはよくわからないが、一冊の本にまとめるにあったって、共…

図解!戦国の陣形

乃至雅彦氏監修による「図解!戦国の陣形」は講談社現代新書の「戦国の陣形」のビジュアル版といった印象を受けた。今回は乃至氏は監修なので、全編氏による執筆ではないが、「戦国陣形の登場」の項を担当してる。前掲の書で論じられているが、我々がイメー…

量子力学で生命の謎を解く

量子力学と生物がいったいどのような関係があるのか不思議に思って読んでみた。量子力学というとトンネル効果とか波動関数とか、わかるようなわからないような話で、それが生物とどういう関係があるのだろうか? まず、第一章で登場するのはヨーロッパコマド…

[映]アムリタ

なぜこの本を読もうと思ったのか正確には思い出せないが、NHK FMの青春アドベンチャーの「know ~知っている」を聞いて、作者に興味を持ったからだと思う。それで、デビュー作の「[映]アムリタ」を読んでみた。 映画製作にまつわる話だが、撮影している…

虚構推理

この本も買ったのは半年ぐらい前で、ようやく時間がとれて読むことができた。 どこでこの本を目にしたのか記憶が定かでないが、タイトルに惹かれて購入した。「虚構の推理とはなんなのだろう」と。あと、作者が雨月物語に着想を得たいうようなことを書いてい…

ドミノ

何か楽しい小説はないかと検索して見つけて、読んでみた。楽しいというのは本当はユーモアのあるということを念頭に置いていたので、希望していたものとは若干違ったが、愉しく読んだ。 この小説は関東生命の八重洲支社が7月の契約目標を守るために、千葉の…

冷血

高村薫の冷血をようやく読んだ。本が出版されたのが2012年11月で、発売と同時に購入していたのだが、上下2巻であり、しかも上下2段組で、一気に読みたいと思っていて、今の今まで読む機会たなかった。 上巻には第一章「事件」(この章は、加害者2名の遭遇…

つくおき

読書というのとはちょっと違うが、このレシピ本を参照して、晩御飯のおかずを作っている。なんせ、毎日調理していると大変だし、非効率だから。ただ、メニューの中の油で揚げるようなものは作っていない。油で揚げるのは、残った油の処理に困るので、どうし…

屍者たちの帝国

去年、映画「屍者の帝国」を見た後に買ったと記憶している。当時は、この中から2~3編を読んだだけで、その後読書を中断していた。 2編目の「小ねずみと童貞と復活した女」がハチャメチャで面白い。ドストエフスキーの「白痴」とダニエルキースの「アルジャ…

涙香迷宮

購入したのは約一か月前で、ようやく読むことができた。著者の名前だけで購入を決めたので、まさか牧場智久・武藤類子シリーズの一編だとは知らなかった。タイトルにもある通り、黒岩涙香をベースに、連珠、いろは歌、それらを組み合わせた暗号、そしてもち…